『100万回 言えばよかった』磯山晶Pが語る、井上真央×佐藤健×松山ケンイチとのドラマ作り

磯山晶Pが語る、井上真央らとのドラマ作り

このドラマのエンディングは?

――井上さん、佐藤さん、松山さんのお芝居をご覧になって、改めて巧いなと感じた場面を教えてください。

磯山:井上さんは、「絶対に許さない」という第4話のシーンはすごいなと思いました。泣くとか叫ぶとかじゃないのに、めちゃくちゃ気持ちが伝わったなと思いますね。最終回も、井上さんが絶対にすごいお芝居をしてくれる予感がするので楽しみにしています。佐藤さんは、第4話の「やっぱ俺、死んでたわ」と言うところと、第7話の(鉄パイプを持った男から)自分では悠依を守れなくて、譲に「ありがとう」と言う顔がすごかったですね。今回は幽霊なんですけど、『恋つづ』みたいなキャラが強めのお芝居じゃなくて、意外とリアル志向なんです。「本当に死んだらどうするか」という感じでやってくださっているので、顔がちょっと脱力というか、弱気というか。何でもできるはずなのに何もできない感が、とても新しいなと思いながら見ています。第6話の「悠依にはただ笑っててほしい、それだけ」っていう顔も見たことがない。やっぱり、ちょっと弱い顔がすごく印象的ですね。松山さんは屋上のシーンももちろんそうなんですけど、松山さんの巧さって1個のシーン、1個のセリフじゃない気がしています。たとえば、第2話の最後に悠依が泣いちゃって、直木も触れなくて呆然としているときに、「俺、ここでずっと見てるのは辛いんで、ティッシュを差し出していいですか」みたいな感じで、自分の中で「こうしたい」ということが結構あるんです。それがすごくハマるし、優しさに繋がるエピソードがあって、その包容力にすごく救われています。「絶対に許さない」と言った後に、幽霊の直木がバックハグしていることに全然気づいてない悠依越しの魚住さんが、本当に切ない顔をしていたのもよかったですし、第5話で「僕は尽くすタイプですよ」と言うところとか、ちょっくちょく色っぽいのもいいなと思いますね。

――なるほど(笑)。アドリブも多いのでしょうか?

磯山:アドリブも松山さんが一番多いです。『王様のブランチ』(TBS系)で井上さんも言ってましたけど、口笛を吹く直木に「顔、顔」というシーンとか。ちょっとしたことを常に仕掛けてくるのは松山さんで、みんなそれをうまく受けるので、すごいなと思います。

――尾崎莉桜役を演じる香里奈さんの起用理由と、魅力についても聞かせてください。

磯山:事件の鍵を握る人物なので、もちろん演技力もそうですし、みんなが見たい人じゃなきゃダメだなと思っていて。『恋つづ』のときにもすごく頼りになったし、やはり圧倒的な華がある方なのでお願いしました。魅力としては、第6話で車に乗せられちゃう直前に、悠依を見てちょっと笑うところがめちゃくちゃ良かったですね。ずっと謎のままで難しい役ですし、先の台本もないままやってくださっているので申し訳ないんですけど、あの笑顔は本当にいいなって思いました。

――あの笑顔は演出ですか?

磯山:(莉桜は)本当は誰かに話したいけど、危険を感じてずっと潜伏せざるを得ないような人だったので、ちょっと心がほどけるような顔が見たいと思っていました。イメージは映画『天城越え』で連れ去られる田中裕子さんなんですけど(笑)、本当にそういう顔だったのですごいなと思います。本人にその話をしたかどうかは忘れてしまいましたけど、絶妙な顔でしたね。

――SNSでは、悠依の学生時代を演じる新井美羽さんが、井上さんに似てると話題になっています。

磯山:確認のためにオーディションはしたんですけど、基本的には似てる人のほうが感情移入しやすいと思うし、それでいてお芝居が上手で、かわいくて……いろんな条件をすべて兼ね備えていたのが、やっぱり新井さんでした。1回、井上さんがやっている悠依を見てもらっただけなのに、本当に特徴を掴んでいてすごいなと思いましたね。直木役の坂本(愛登)くんも上手なので、井上さんは「もっとあの子たちのパートを長くすればいいのに」ってずっと言ってます。「あんなピュアな演技は、私にはもうできない」って(笑)。

――(笑)。そして、切ない物語をマカロニえんぴつの主題歌「リンジュー・ラヴ」がさらに盛り上げています。

磯山:本当にバラードバージョンが間に合ってよかったです。原曲も大好きなんですけど、ちょっとポップだったりもするので、本当に悲しいときにはバラードバージョンが欲しいなと思って、第1話を作るときに「どうでしょう?」と頼んでみたら作ってくださったんです。はっとりさんもミニアルバムにも入れるとおっしゃるくらい気に入ってると聞いて、よかったなと思っています。

――最後に、最終回に向けてメッセージをお願いします。

磯山:3人が起こす奇跡とはなんぞや、ということですよね。「もう絶対にハッピーエンドはないじゃん」とよく言われているんですけど、何をもってハッピーエンドというのかと思うところがある。ドラマではよく結婚をハッピーエンドとして描きますが、その結婚がうまくいくかどうかはわからないし、全部うまくいくなら世の中に不倫カップルなんていないわけで(笑)。「このドラマのエンディングは、ここだ!」と思いながら作っているので、それを観たみなさんがハッピーだったらいいなと思います。

■放送情報
金曜ドラマ『100万回 言えばよかった』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:井上真央、佐藤健、シム・ウンギョン、板倉俊之(インパルス)、平岩紙、春風亭昇太、荒川良々、松山ケンイチ
脚本:安達奈緒子
プロデューサー:磯山晶、杉田彩佳
演出:金子文紀、山室大輔、古林淳太郎
編成:中西真央、吉藤芽衣
主題歌:マカロニえんぴつ「リンジュー・ラヴ」(TOY’S FACTORY)
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/100ie_tbs/
公式Twitter:@hyakumankai_tbs
公式Instagram:hyakumankai_tbs

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