『100万回 言えばよかった』悠依を守った直木のかすかな音 英介が隠し続けてきた裏の顔

『100万回 言えばよかった』直木の口笛

 彼女を守りたい。きっと直木(佐藤健)の思い残しは、それだけだったはず。しかし、幽霊になってでも悠依(井上真央)の元へと駆けつけたものの、何もできないことを痛感するばかり。話せない。触れられない。代わりに身を差し出すこともできない……。そんな絶望ばかりの直木だからこそ、幽霊ならではの方法で悠依を救えそうな展開に、胸が高鳴った。

 金曜ドラマ『100万回 言えばよかった』(TBS系)第8話は、いよいよ直木が殺された事件の真相が一気に紐解かれていった。かねてより視聴者の間で「怪しい」と囁かれていた英介(荒川良々)が、やはり事件に関わっていることが明らかに。

 行き場のない多くの子どもたちを里親として受け入れてきた勝(春風亭昇太)を尊敬し、自らも子どもたちを救いたいと願っているように見えた英介。直木の夢を後押しし、洋食屋「ハチドリ」を出店したのも英介だった。だから、悠依もすっかり気を許していた。まさか英介が売春斡旋の片棒を担ぐように、少女たちを送迎していた“グーミー”だとは気づかなかったし、ましてや直木の殺人事件に関与しているなんてちっとも疑わなかった。

 そして、誘われるがまま勝の家へと2人で向かう。そこが、直木の命を落とした場所だと知っていたにもかかわらず、だ。希也(永島敬三)と莉桜(香里奈)を自殺に見せかけて殺害しようとしたのも、きっと英介なのだろう。希也と英介の会話からわかったのは、千代(神野三鈴)と希也は親子(と呼べるほど切っても切れない関係?)であるということ。だが、千代は希也に「莉桜を殺して自首するように」と告げたようだ。

 千代にとって、希也はそれほど簡単に手放せる存在なのだろうか。涼香(近藤千尋)を殺害したのも希也だったという。そんな汚れ仕事ができるほど千代に従順だったのはなぜか。そして証拠を残すことなく、クリーンなイメージを完璧に作り上げていく。そんな千代のスタンスは、どこか英介にも通じる。もしかしたら、希也以上に千代と結びつきが強いのは英介のほうなのかもしれない。希也が千代の罪を暴けば、英介の罪も芋づる式に明らかになることだろう。そうなれば、子どもたちを救うことができない、そう英介は思ったのかもしれない。

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