制作スタッフも声優も“全集中”で臨むこそのクオリティ 『鬼滅の刃』を劇場で観る価値とは

『鬼滅の刃』制作スタッフも声優も“全集中”

 なおかつ『鬼滅の刃』は、キャスティングにも一切の妥協が存在しない。ワールドツアー上映『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』の公開で話題になったことに、上弦の鬼たちを演じる声優たちの豪華ぶりがある。上弦の壱の黒死牟役に置鮎龍太郎、上弦の肆の半天狗役に古川登志夫、上弦の伍の玉壺役に鳥海浩輔が決定。『遊郭編』に姿を見せていた童磨役の宮野真守、『無限列車編』で登場した猗窩座を演じている石田彰と、主役級がズラリと揃って鬼たちを演じている。

 前に登場した下弦を含む鬼たちも同様に主役級が並ぶ。そうした鬼たちを束ねる冷酷無比な鬼舞辻無惨役の関俊彦も、『遊郭編』で愛憎の入り交じった関係を見せてくれた妓夫太郎役の逢坂良太と堕姫役の沢城みゆきも、数々の作品で主要な役を演じてきた精鋭たち。鬼といっても単純な悪ではなく、妓夫太郎と堕姫の兄妹が人間だった時に悲惨な境遇に置かれ、絶望の中で鬼になることを選んだような複雑な背景を、しっかりと声に乗せて聴かせてくれる。

 そう考えると、第1話が先行上映された『刀鍛冶の里編』から半天狗役として出演する古川が、シリーズきっての大ベテランとしてどのような声を聞かせてくれるのかに興味がわいてくる。ここから本格的に活躍する姿を見せてくれる恋柱の甘露寺蜜璃を演じる花澤香菜、霞柱の時透無一郎役を務める河西健吾も、炎柱の煉獄杏寿郎を演じて400億円の国内興行収入確保に貢献した日野聡や、天元のド派手ぶりをスケールアップさせた小西克幸のような存在感を作り出せるのかも気にかかる。

 何より、厳しい戦いを経るごとに強くなっていく炭治郎を演じる花江夏樹や、兄の側にいて戦いを支える禰豆子を演じる鬼頭明里の、シリーズを通して成長していく演技に触れられるシリーズでもある。その意味で4月からフジテレビ系で放送が始まる『刀鍛冶の里編』は楽しみどころがたっぷり。とりあえずワールドツアー上映『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』でストーリーをおさらいし、新章の一端に触れてスタートを待とう。

■公開情報
『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』
全国公開中
原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃
脚本制作:ufotable
サブキャラクターデザイン:佐藤美幸、梶山庸子、菊池美花
プロップデザイン:小山将治
美術監督:衛藤功二
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:大前祐子
編集:神野学
音楽:梶浦由記、椎名豪
アニメーション制作:ufotable
配給:東宝・アニプレックス
出演:花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、小西克幸、河西健吾、花澤香菜、関俊彦、置鮎龍太郎、宮野真守、石田彰、古川登志夫、鳥海浩輔、沢城みゆき、逢坂良太
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
公式サイト:https://kimetsu.com/anime/
公式Twitter:https://twitter.com/kimetsu_off

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