堀田真由、『大奥』家光役でこれまでの経験が結実 立場によって変わる表情の振り幅

堀田真由、『大奥』家光役は新たな代表作に

 1月にスタートした、よしながふみの大人気コミックを実写化したドラマ10『大奥』(NHK総合)。2月7日に放送された第5話では、三代将軍家光・万里小路有功編が完結。時代は五代将軍綱吉・右衛門佐編へと移った。

「間違いなくこれは自分の代表作になると確信しています」

堀田真由、『大奥』家光役は「代表作になると確信している」 福士蒼汰との共闘を明かす

謎の奇病で男女の立場や役割が逆転した江戸パラレルワールドを描くよしながふみ原作のドラマ『大奥』(NHK総合)。1月10日に放送さ…

 放送前のインタビューで語った通り、第2話から第5話に登場した三代将軍家光・堀田真由の演技は圧巻だった。

 堀田が演じたのは、若い男性のみに感染する奇病「赤面疱瘡」で亡くなった父・家光の落胤である千恵(家光)。徳川幕府を維持するために春日局(斉藤由貴)に拉致され、「この世にいてはならぬ方」として隠されながら、父の身代わりに世継ぎを作ることを強いられるという複雑な境遇にある。

 万が一、人に見られた時のために髪を切って男装をさせられ、女名も奪われた。有功を愛する前の家光は、町娘の髪を切って憂さを晴らすことしかできない悲しい少女だった。同じく無理やり大奥入りをさせられた有功と初対面した際には、扇子で何度も顔を打ちつける横暴な振る舞いで苛立ちをぶつけた。大奥の男たちに女装をさせて辱め、大笑いしながらも目には涙があふれてくる。逃れられない運命からの救いを求める家光の声なき悲痛な叫びが痛いほど伝わり、筆者ももらい泣きした。

 その悲しみごと抱きしめてくれた有功と心を通わせ、さらに家光は母になることで強くなり、この世と心中しようと覚悟を持った名実ともに将軍へと成長していく。その変化を、堀田は繊細に表現した。

 有功の前だけで見せる、恋する少女のような千恵。男へのトラウマから「そなたがわしを抱くのではない、そなたがわしに抱かれるのじゃ」と側室を蹴り飛ばす「上様」。千代姫を見つめる穏やかな母としての一面。お忍びで江戸の町を視察し、的確に政を進める聡明な将軍の顔。大勢の家臣の前で「誰かわしが女将軍になることに異存はあるかえ!」と啖呵を切る初代女将軍としての威厳。堀田は立場によって見せる表情をガラリと変え、その幅広い演技力を見せつけた。

 有功役の福士蒼汰とともに作り上げた、清らかで美しい家光・有功編は、間違いなく堀田の代表作の一つとなったと言えるだろう。

 清楚で愛くるしい佇まいに反して、実は心に強いトラウマを抱えている。家光の多面的な人物造形は、実は堀田の“十八番”でもある。

 2015年に、今作の綱吉役である仲里依紗が主演したWOWOWの『連続ドラマW テミスの求刑』でデビューした堀田は、2017年のNHK連続テレビ小説『わろてんか』で注目を集めた。その後は『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)、『チア☆ダン』(TBS系)、連続テレビ小説『エール』(NHK総合)など話題作に多数出演し、演技力に磨きをかけた。

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