『愛と、利と』ムン・ガヨンが語ったスヨンの選択 最終回は受け手に解釈を委ねる展開に
Netflixで配信中の『愛と、利と』が最終回を迎えた。男女4人の社内恋愛を描いた本作は、会社の中での階級の違いが、愛と利害の中でどんな感情と葛藤を見せ、愛を理解していくのかを描いた作品だ。
クライマックスを迎えた第14話ラストで、アン・スヨン(ムン・ガヨン)はハ・サンス(ユ・ヨンソク)の前から姿を消した。
第15話、第16話は、姿を消したスヨンが銀行へ退職願を出すところから物語は始まる。スヨンの家へ駆け付けたサンスは、不安な心を表すようなオールブラックの服装をしている。そして、繋がらないスヨンの電話を聴き、絶望感でいっぱいのサンスの心を表すように降りかかる雪。仕事中なのに放りだし、不動産屋へ行くサンスだが、スヨンの行方はわからず途方に暮れる。正社員への転属を目標に頑張ってきたスヨンが、晴れて転属でき、契約社員のオレンジのストラップから社員のブルーのストラップへと色が変わった矢先なのに……とサンスとともに暗たんとした気持ちにさせられた人もいるのではないだろうか。
一方、サンスと別れたパク・ミギョン(クム・セロク)は、ワシントン支店へ転勤となる。ソ・ギョンピル(ムン・テユ)は、去ってしまうミギョンからミギョンやスヨンにした行動を咎められて、行動を改めようとサンスと食事をすることにする。ギョンピルは、サンスに自分とスヨンの関係はウソであることをサンスに伝えようとするが、サンスは聞く耳を持たない。スヨンの真意を伝えたいギョンピルは、会話の録音ファイルをサンスに送るが、サンスは録音テープを聞かずに削除してしまう。ここのサンスとギョンピルのやり取りは、観ている側がジリジリイライラさせられる演出だ。言葉に出して言わないギョンピルと、録音を聞かないサンスのコンビに、なんともフラストレーションがたまる。両親とともに故郷へ帰ったスヨンは、父の浮気相手だと思っていた相手から、浮気をしていたのは母だったと聞き、驚愕する。最終回を前にした第15話で、視聴者の感情が大いに揺さぶられ迎える最終話となった。
4年の時が経過し、スヨンはカフェを経営し、サンスがそのカフェの近くの支店に転勤になるところから、ラストの物語が展開する。スヨンは融資を受けるために銀行を訪れ、サンスと再会する。そして、ふたりは約束していたのに果たせなかった店へと豚カツを食べに行く。道すがら、サンスとスヨンは、それぞれの結ばれなかった想いについて語り合う。ここでもスヨンは、ネガティブなことを言ってサンスからつっこまれたり、互いに未練がないようにも、あるようにもなんとでも取れる会話を交わす。初回からラストまで、登場人物たちの複雑な感情や、絡まる関係性にイライラさせられたり、モヤモヤしたり、登場人物たちの心象描写を入れて実際の出来事のように混同させたりと、観る者を非常に揺さぶってきた本作。愛の理解ができたのか、サンスとスヨンの今後は、“それぞれ観る人の数だけのストーリー”がある、オープンエンドのラストとなった。
本作は、人生ドラマとして挙げる人も多い名作である、『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』の撮影チームがスタッフで、どことなく演出や映像に両作品に共通する雰囲気を感じさせる。ユ・ヨンソクはインタビューで、「『私のおじさん』の撮影監督さんと知って嬉しかったし期待もたくさんした。おかげで映像美がよくできたようだ」と語り、さらに、ムン・ガヨンとのメロ演技について、「ちょっとぎこちなくて、ときめく姿が自然に出てきた」とコメントしている。(※1)