『相棒』“いつもと違う”姿を巧みに描いた秀逸回 仕事を果たすイタミンのカッコよさも

『相棒』“いつもと違う”秀逸回

「こういう事件、特命係が好きそう……」
「そろそろひょっこり……!?」
「やめろ……本当に出るぞ」

 なんだかんだで特命係と一緒に仕事をするのを楽しみしているような伊丹(川原和久)率いる「トリオ・ザ・捜一」のいる事件現場に、右京(水谷豊)と亀山(寺脇康文)は現れなかった。2月8日放送の『相棒 season21』(テレビ朝日系)第16話で、ふたりはとある豪華な山荘にいたのだ。

 といっても、ふたりが仲良く一緒に休暇をとってバカンスを楽しんでいたわけではない。その数日前、美和子(鈴木砂羽)が亀山の態度に腹を立て、夫婦喧嘩が勃発。美和子の一方的な提案で、自然豊かな山荘に泊まり掛けで夫婦カウンセリングを受けることとなった。それを聞いた右京は、亀山には内緒で行きつけの「こてまり」の女将・茉梨(森口瑤子)と夫婦を装って参加することにしたのだった。

 このカウンセリングに使われている山荘は、40年前、2人組の強盗が、奪った10億の財宝を隠したと噂される曰く付きの物件。さらに最近、逃げ続けていた強盗犯のひとり・竹村(小林尚臣)が殺害された。右京はその犯人が財宝を探しに山荘にやってくるのではないかと推理したのだ。最初は「妻は来れなくなった」ということで、右京だけが参加するつもりだったようだが、「いつもお話だけ聞いていたから、来てみたかったんです」という茉梨。どうやら少々強引に右京についてきたようだが、“杉下夫婦”は楽しそうだ。

 一方、一触即発とまではいかないが、ピリピリした空気の漂う亀山夫婦。だが、美和子の本当の狙いはカウンセリングではなかった。一緒に参加している婚約中だというカップルのひとりが結婚詐欺師である疑いがあり、真相を確かめるため、カウンセリングに“潜入”したのだ。美和子から最近の取材の様子を聞いていた右京はすぐにピンときたようで、真実を知らないのは、美和子の機嫌を損ねて悶々としている亀山ひとり。「薫ちゃんは嘘がつけないから」という美和子の言葉から察するに急な夫婦喧嘩も美和子の策略で、亀山はしっかり妻に手綱を握られているのである。

 さらに、実は「トリオ・ザ・捜一」が、特命係がくるのではないかと話していた事件こそ、竹村の事件。つまり、右京は興味がないから事件現場に来なかったのではなく、捜一メンバーが何回か現場にくる頃には大体、事件の真相が見えていて、山荘に来たのは最後の仕上げをするためだったのだ。

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