『夕暮れに、手をつなぐ』広瀬すずの“秘密のキス” ファッションデザイナーの才能が見え隠れ
TBSの火曜ドラマは、直前に放送されている『マツコの知らない世界』(TBS系)からCMなしの地続きでオンエアへと流れていく。いつからか、その回の軽い放送内容が右上にバナー形式で出るようになったが、『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)第4話の予告バナーは「広瀬すず×永瀬廉!秘密のキス!」だった。
筆者は公式から与えられた情報であれば素直に受け止めるタイプ(SNSのトレンドに上がってきてネタバレをくらうのは許せない)であり、今回の予告も「なるほど」くらいに身構えていた。今思えば、だからこそしてやられたのかもしれない。
この第4話では雪平邸の縁側で夕暮れの中、空豆(広瀬すず)と音(永瀬廉)が唇を近づけ合うシーンがある。だが、空豆が水鉄砲を取り出し、音の顔面に噴射。「騙されよった」と空豆がいたずらに笑い出し、いつもの子供の喧嘩のようなやり合いになっていく。惑わされたと思いつつ観ていると、ラストに待ち構えていた空豆から寝ている音へのキス。響子(夏木マリ)も、音も知らない、秘密のキスだ。「起きんね。泥棒してしまうとよ」という空豆のセリフは、直前まで鼻歌で歌っていた、音との出会いの曲でもあるヨルシカ「春泥棒」にかけたものだろう。風呂上がりの火照った表情の空豆が、身体を乗り出して音の唇を盗みに行く姿はどこか美しさを覚える。
元を辿れば、「キス」というワードは第4話冒頭、ショーウィンドウの前で音が告げた「帰んなよ」「いろよ」に空豆がキスを迫ってきたと感じたところから始まっている。季節は冬。音が7月16日、空豆が7月9日。誕生日を言い合う2人。あっさり「音がこの世におらん、7日、寂しかったと」なんてこぼれ出る空豆に、思わず音は「なんてこと言うの」とつぶやき、キスのムードへと駆り立てた。響子のセンシティブな発言も知らぬ間に彼らを後押ししているのかもしれないが、一つ言えることは2人の気づいていない潜在的な意識の中で、恋に落ちているのかもしれないということ。それはアーティストデビューが決まった音の楽曲を聴いて、 “イソベマキ”こと磯部真紀子(松本若菜)が言った「音くんなにかあった? 一皮剥けた感じ。恋をしちゃったり、してなかったり、落ちる手前だったり?」というセリフが示唆的だ。