『ブラッシュアップライフ』など快進撃が続く夏帆 常に新しい表情を見せ続ける芝居の力量

『ブラッシュアップライフ』夏帆の快進撃続く

 『silent』(フジテレビ系)で、ろう者の女性を演じ見事な手話と圧巻の演技で話題となった夏帆が、2023年1月期の日曜ドラマ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)でも魅力あふれる姿を見せている。主演・安藤サクラ、脚本・バカリズムの独特な切り口とエモーショナルな描写でジワジワと人気が広がる本作で夏帆が演じるのは、主人公・近藤麻美の友人、門倉夏希だ。

夏帆が『silent』に刻んだ名演 視聴者を涙させた芝居の凄みを紐解く

夏帆が多くの視聴者の涙を誘った『silent』(フジテレビ系)の第6話。本作の折り返しとも言える中盤で、今後の物語、そして視聴者…

 第39回日本アカデミー賞の優秀助演女優賞を受賞した映画『海街diary』(2015年)で、その実力が高く評価され、『silent』で一層の快進撃を見せる夏帆だが、実は子役時代にも『エンジン』(フジテレビ系)や『女王の教室』(日本テレビ系)など、多くの作品で活躍してきた。夏帆がまだティーンだった頃、彼女を含む同年代のタレントや女優の卵はティーン向けファッション雑誌『ピチレモン』や『Seventeen』などのファッション誌でモデルを務めるかたわら、ジュニアアイドルを扱う『ピュアピュア』や『B.L.T.』などでグラビアを披露することもあった。モデル、グラビア、CMと多岐にわたるキャリアの中から見出された一握りの人材がドラマや映画で活躍し、徐々に知名度を上げていくという流れが、その当時にはできていたのだ。夏帆と同時代を駆け上ってきた女優には黒川智花や志田未来がおり、やや上の世代では長澤まさみ、堀北真希、新垣結衣などが同様のステップを踏みキャリアアップしている。

 そんな中で夏帆は、2004年にドラマプロデューサーの丹羽多聞アンドリウが手がける『ケータイ刑事 銭形シリーズ』(BS-TBS)の第4作目にあたる『ケータイ刑事 銭形零』で主演の銭形零役に抜擢される。当時の丹羽多聞アンドリウがキャスティングした若手女優は「丹羽多聞チルドレン」と呼ばれ、丹羽多聞作品に出た後にブレイクすると話題になっていた。丹羽は堀北真希や大政絢、桐谷美玲など実際に女優として大成した当時の若手を何人も発掘していたのだ。こうして夏帆もまた「丹羽多聞チルドレン」として順風満帆に女優業のスタートを切ることに。

出演作が途切れない! ますます脂が乗る、夏帆のポテンシャル

マグロは泳ぎを止めると死ぬーーこんな言葉を夏帆は、主演を務めた映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』内にて投げかけられる。彼女が演じる…

 『天然コケッコー』(2007年)、『うた魂♪』(2008年)では黒髪ストレートのロングヘアで清純派のイメージが強かった夏帆も、年齢とともにチャレンジングな役柄が増える。いわゆる観る人をキュンとさせるような正統派ヒロイン像から一変、『みんな!エスパーだよ!』(テレビ東京系)では不良少女役を演じ、そのギャップで多くの人を驚かせた。その後はロングヘアをばっさり切り、『架空OL日記』(日本テレビ系)や『ブルーアワーにぶっ飛ばす』(2019年)など“リアルな等身大の女性”へと演技の幅を広げていく。日常生活にありふれた生身の感情を繊細にすくいあげ表現することで男女問わず多くの視聴者の心を動かした。前述の『silent』ではヒロインにとっての恋敵にあたる奈々役を演じたが、夏帆が表現する「聴こえない」ことの苦悩や、恋の苦しみは多くの視聴者の共感を呼び、ときにきつい言葉を発することもありながら、それすら多くの人から愛されるキャラクターとなった。

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