『ヒロアカ』第6期は“形の違う正義”を描く 葛藤と孤独が漂う敵<ヴィラン>の美学
『ヒロアカ』は敵<ヴィラン>の“友情・努力・勝利”も描く
周りの人を元気づけるような性格のキャラクターが揃うジャンプ作品のテーマといえば“友情・努力・勝利”の三拍子だろう。雄英のスローガン「更に向こうへ!Plus Ultra!!」からもわかるように、生徒たちの友情と高みへと励む熱い想いは『ヒロアカ』の確固たる魅力でもある。
そして、この“友情・努力・勝利”は形を変えて敵<ヴィラン>サイドにも反映されている。特に死柄木率いる敵<ヴィラン>連合の面々は、寄せ集めの悪役集団として生活していた自分たちに、不思議な絆が芽生え始めていることを第6期を通じて自覚する。
もちろんデクや爆豪、轟をはじめ、ヒーローサイドにも多くのドラマを抱えたキャラクターが集う。そして彼らの圧倒的な優しさと“光の中を生きる者”としての強さに胸を打たれる気持ちは重々に分かる。
それでも筆者は、勝利の形は違えど、不器用ながらに仲間を想い、大切な居場所を守ろうとする敵<ヴィラン>に心惹かれる自分がいることに気がついてしまった。『ヒロアカ』ファンの中にはおそらく大勢の同志がいるのではないか。全ての人の生きる意味をそっと肯定してくれるような作品の温かさに心救われたのは、私だけではないはずだ。
『ヒロアカ』は正義と悪が表裏一体であるという真実を描きながら、“ヒーローになれなかった”キャラクターの人生像をも丁寧に描く。“友情・努力・勝利”の形がそれぞれみんな違ってもいい。己の信じる正義を貫いて生きることこそ、本当のヒーローの在り方なのではないか。そんな敵<ヴィラン>の美学が響く第6期。葛藤と孤独が漂う人間らしい悪役たちは、ヒーローとの交戦に何を想うのだろうか。
■放送情報
『僕のヒーローアカデミア』
読売テレビ・日本テレビ系にて、毎週土曜17:30〜放送
※一部地域を除く
原作:堀越耕平(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
総監督:長崎健司
監督:向井雅浩
シリーズ構成・脚本:黒田洋介
キャラクターデザイン:馬越嘉彦・小田嶋瞳
音楽:林ゆうき
アニメーション制作:ボンズ
声の出演:山下大輝、岡本信彦、佐倉綾音、石川界人、梶裕貴、増田俊樹、悠木碧、井上麻里奈、細谷佳正、天崎滉平、小笠原亜紀、沖野晃司、松岡禎丞、真坂美帆、羽多野渉、諏訪部順一、三宅健太
©︎堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会
公式サイト:https://heroaca.com/
公式twitter:https://twitter.com/heroaca_anime
公式Instagram:https://www.instagram.com/heroaca_insta/