『リバーサルオーケストラ』濱田マリの音色から伝わる温かさ 燃え上がり始めた恋の炎

『リバーサルオーケストラ』濱田マリの音色

 ドラマ『リバーサルオーケストラ』(日本テレビ系)第4話では、児玉交響楽団(通称「玉響」)が初の出張オーケストラに出向く。会場はヴィオラのトップサイドである桃井みどり(濱田マリ)の娘・亜美(凛美)の高校で、演奏曲は緑黄色社会「Mela!」。第3話の「威風堂々」とはまた別ベクトルの胸に込み上げるものがキャスト陣の演奏からは感じられた。

 大学受験を前にストレス性胃腸炎で倒れてしまった亜美に、深夜の個人練で娘の体調の変化に気づけなかったみどり。そのことを反省し、娘の受験が終わるまでみどりは玉響を休団することを決意する。朝陽(田中圭)からみどりの説得を命じられた初音(門脇麦)が思いついた案が、亜美の高校で出張オケをサプライズで開くというものだった。そこには、娘から「音楽の仕事に誇り持ててないってことじゃないの?」と言われてしまったみどりに、プロの演奏家としてのプライドを見せてほしいという朝陽をはじめとする団員たちの思いも乗っかっていたはずだ。

 みどり本人もサプライズに戸惑いながら、娘が見ている中で演奏を始める。「Mela!」は亜美がチアリーディング部の最後の大会で踊った曲。みどりのソロ演奏から始まり、ヴァイオリン、チェロといったほかの弦楽器が合流、そこに木管楽器、金管楽器、打楽器が加わり流麗かつ重厚なオーケストラの演奏が完成していく。オーボエの首席・穂苅(平田満)はみどりのヴィオラの音色を「とっても温かい」と亜美に伝える。「ヴィオラって縁の下の力持ちなんですよね。一見目立たないようでも、オーケストラにとって大切な存在です。みんなに寄り添って、さりげなく支えてくれる。あなたのお母さんに似ているかもしれません」と。

 特筆すべきは、「Mela!」という選曲だ。先述したように亜美の好きな曲であり、受験生に向けたメッセージソングということもチョイスの理由にはあるだろうが、〈そんなに荷物を背負い込んでどこへ行くの ほんのちょっと僕にちょっと預けてみては? こんな僕も君のヒーローになりたいのさ〉という歌詞が娘を思う母として、そして娘の自慢のプロの演奏家でいたいという、亜美に対するみどりの心情のように思えてならなかった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる