柳楽優弥、2023年は「自分が出る作品をいい作品にしたい」 『ガンニバル』で変化した意識

柳楽優弥、『ガンニバル』を経ての変化

 ディズニープラス「スター」オリジナルシリーズ『ガンニバル』。二宮正明による衝撃の原作を、錚々たるスタッフ・キャスト陣が集い制作された本作は、配信されるやいなや各所で絶賛の声が相次いだ。そんな本作を座長として引っ張ったのが、主人公・阿川大悟役の柳楽優弥だ。善と悪の狭間を行き来するような人物を柳楽はどう演じたのか。本作に込めた思いをじっくりと聞いた。(編集部)

ヴィレッジサイコスリラー『ガンニバル』特集

その秘密に触れたとき、平穏な日常に狂気が忍び込む。 この村に、喰われる――。 美しい村には、ある噂がある——この村では人が喰…

主人公として“居続けること”を意識

――『ガンニバル』の原作を読まれた感想をお聞かせいただけますか?

柳楽優弥(以下、柳楽):「これ本当にディズニーでやるの?」という感想でした。ホラーやサスペンスをよく観るタイプではないですが、片山慎三監督やカメラマンの池田直矢さんが、この作品にかけている想いや情熱が、僕には前向きに感じ取れたので、原作の良さや家族の描き方など、キーワードになる部分は片山監督を信用して現場にいようと思っていました。

――原作との違いを意識して演じられた部分はありますか?

柳楽:原作は阿川家vs後藤家だったり、村八分のような村の人からの受け入れられない対応が強く描かれていたと思うんですが、阿川家が課題を乗り越えようとしている姿勢は、映像ならではのものとして浮かび上がってきた部分だと感じました。有希役の吉岡(里帆)さんと、ましろ役の(志水)心音ちゃんと、3人での家族の築き上げ方は、理想的な形で現場で組み上げられたのではないかと思います。大悟の家族を演じるのが吉岡さんと心音ちゃんでよかったです。

――豪華なスタッフ陣も本作の魅力の一つだと思いますが、作品作りの点で刺激を受けたことはありますか?

柳楽:僕は『ドライブ・マイ・カー』のファンだったので、『ガンニバル』で阿川大悟役にキャスティングしていただけたことは純粋に嬉しかったですね。片山監督の映画は難しいテーマを扱っていながらエンターテインメントとして見やすかったり、プロデューサーの山本晃久さんと脚本の大江崇允さんも含め、クリエイターとして好きな方が多かったので、今回ご一緒できたのはラッキーだなと思いました。特に感じるのはキャストですね。笠松将さんも、ライジングスターのエネルギーのようなものを感じて。作品は「喰うか喰われるか」の話ですけど、僕も俳優として「食われないようにしないと」と思うような方と共演できたのは、しびれるというか、ありがたかったです。それと、僕は高杉真宙さんの顔が好きなので、ずっと「かっこいいな」「いえいえ」という会話をしていて。このストーリーらしくない現場でした(笑)。

――笠松さんとは現場で演技についてのお話を?

柳楽:個々が監督やスタッフとコミュニケーションが取れている現場だったので、笠松さんはこういうことを考えている、ということを少し聞いたぐらいです。そういう意味では、期間も半年ぐらい使って撮っていたので、チームワークがよく感じられたのは良かったと思います。

――『ガンニバル』のテーマの一つに“狂気”がありますが、柳楽さんといえば狂気的な演技が印象的です。

柳楽:狂気トリップというか、狂気系の役が多すぎて、自分では意識しているのかしていないのかわからないんです。大悟は主人公でずっと出ているので、脇で何シーンか出るキャラクターのように足し算ばかりでインパクトを残すというよりかは、主人公として居続けることを意識しました。

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