『どうする家康』松嶋菜々子、“戦国の母”於大の方としての強さ 元康のあまりに重い決断

松嶋菜々子、“戦国の母”としての強さ 

 第3回で、元康に戦乱の世を渡り歩くための厳しい現実を突きつけるのは信元だけではない。母・於大の方は瀬名(有村架純)と子どもたちを思う元康に冷たい言葉を言い放つ。

 子との再会を喜び、温和な笑顔を見せていた於大の方だが、元康を抱き締めながら「今川と手をお切りなさい」「今川はもうおしまいです」と伝える声色はゾッとするほど冷たい。笑顔のない於大の方の顔つきはとても冷淡に映る。元康はその言葉に呆然としてしまうが、これは主君とはどうあるべきかという彼女なりの教えでもあるのだ。「私が今川を裏切れば、妻と子はどうなるか!」という元康へ、於大の方ははっきりと伝えた。

「それがなんだというのです! つまらぬことです」
「主君たる者、家臣と国のためならば、己の妻や子ごとき、平気で打ち捨てなされ」

 この言葉を受けた元康は於大の方を追い返すが、幾度となく戦が繰り返されるこの時代においてこのような考え方はごく普通のことだったように思う。その場を立ち去る於大の方には、子に出ていけと言われた悲しみも感じられたが、それ以上に於大の方を演じる松嶋の凛とした佇まいに気品と強さが感じられ、厳しい言葉一つ一つに説得力が生まれていた。

 数正と忠次の命懸けの献言により、元康は今川を裏切り、織田につく決断を下した。涙する元康を待ち受けるのは、尾張の清須城で待つ信長だ。狼と白兎がいよいよ対面する。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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