山﨑賢人、鈴木亮平、妻夫木聡……“衝撃”の役作りエピソードを持つ俳優たち

　映画やドラマに出演する俳優にインタビューする際、必ずと言っていいほど質問することがある。それは「役作り」についてだ。

　それはなぜか。この俳優がどんなアプローチで役と向き合っているのか、その裏側を覗くことで、作品に対する想いが窺い知れるし、俳優が返してくれる言葉から登場人物の心情が分かって、より作品が立体的に見えるから。観る側にとっても、またひとつ作品への思い入れも強くなるので、どうしても聞きたい質問なのである。もちろん、作品を観るのに俳優の想いは関係ない、という人もいるだろうが、私は知りたいので聞いている。

　俳優が役や作品に取り組む際に、自身の見た目や生活をガラリと変化させた。という話を一度は聞いたことがあるだろう。こちらでは、そんな俳優が挑んできた驚くべき役作りについて一部紹介したい。

　1998年に公開された極道アクション映画『JOKER 疫病神』に出演したのは北村一輝。渡部篤郎扮する若い組員・ヒロシの弟分を演じることになった北村は、渡部と年齢が近く、身長もほぼ一緒のため、どうすれば弟分に見えるのかを考えた。そこで、歯を抜くことを決意。歯医者にて9本の前歯を抜き、4本の歯を削ったという。北村は、役者以外の世界のことも知った上で俳優業に取り組んでいると前置きした上で、今でもそうしたアプローチはできるほうだと明かしている。

　鈴木亮平は、衝撃的な役作りをすることでも知られている。映画『俺物語!!』（2015年）に出演した際には、原作漫画に登場する主人公の男子高校生・剛田猛男のビジュアルに寄せるべく、30キロ増量。また、テレビドラマ『TBSテレビ60周年特別企画 日曜劇場 天皇の料理番』（2015年／TBS系）にて、病に冒される秋山周太郎を演じるため、撮影に合わせて合計20キロ減量したのは有名な話だ。彼の作品に対する想いに、心を突き動かされた人も多いのではないだろうか。

　吉田修一原作の映画『怒り』（2016年）は、渡辺謙が主演、共演に綾野剛、妻夫木聡、広瀬すず、松山ケンイチ、宮崎あおい、森山未來と、まさにトップクラスの俳優が集結した名作。その年の日本アカデミー賞11部門を受賞した。こちらも、役作りエピソードが多く語られている。たとえば、バックパッカーの田中信吾を演じた森山は、役作りとして実際に無人島で暮らし、田中という人物を自分の中に落とし込んだ。確かに島で暮らす田中のビジュアルや動きに違和感はなく、観客がより物語にのめりこむきっかけを作った。一方、妻夫木が演じた藤田優馬と綾野演じる大西直人はパートナーという関係だった。2人は役に近づくために、撮影中、生活を共にしたという。共同生活を経て、役を演じる上で必要な体温や想いを共有することができた。