『6秒間の軌跡』こんなに愛おしい主人公はなかなかいない! 高橋一生の一挙一動に釘付け

『6秒間の軌跡』高橋一生の一挙一動に釘付け

 ある日、星太郎の元を訪れてきたのは、「あなたのためだけの花火を打ち上げます」と書かれた手書きのチラシを手にした謎の女性・水森ひかり(本田翼)。そのチラシは生前に航が書いたものだった。元より個人に向けた花火を打ち上げるのに乗り気じゃない星太郎は依頼を断るも、その瞬間から不思議なことが起こる。星太郎の重い腰を上げさせるために、なんと航が幽霊になって帰ってきたのだ。

 さっきまでしんみりとしていた気持ちが、まさかの展開で嘘みたいに消えていく。同じように青天の霹靂をくらった星太郎の困惑ぶりを表現する高橋のオーバーリアクションに次ぐ、オーバーリアクションが見ものだ。驚愕、恐怖の後に航が目の前にいる安心感や、対する死への実感から色んな感情がない交ぜになり、咽び泣く星太郎。大人なのに子どものような彼の一挙一動は笑えるのに胸をキュッと締め付けもする。こんなに愛おしい40代の主人公がかつていただろうか。

 さて、航に背中を押されるがまま、今回限りと決めてひかりの依頼を受けることにした星太郎だったが、ひかりは花火を上げる目的や要望など具体的なことは何も教えてくれない。ただ、「望月さんにとっての素敵な花火を」というひかりの言葉を頼りに、自分が思う最高の花火をあげる。第1話において、二度目となる花火のシーンはケツメイシが手がける主題歌「夜空を翔ける」の心の琴線に触れるエモーショナルな音色と歌声との相乗効果で感動的なものとなった。

 一方、依頼人であるひかりに自分の花火を鼻で笑われ、落ち込む星太郎。プライドがズタズタに傷ついたのもつかの間、ひかりが住み込みで働かせてほしいと再度家を訪ねてくる。右往左往する星太郎とは対照的に、いつも飄々としている航とひかり。そんな二人に星太郎が振り回されている様子が微笑ましい。こうして少しずつ、星太郎は花火師として自立していくのだろう。その先に航との寂しい別れがあるとしても、しばしの間、このリアルとファンタジーが心地良く同居する世界観にどっぷりと浸っていたい。

参照

https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/01/12/kiji/20230112s00041000395000c.html

■放送情報
土曜ナイトドラマ『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:30〜0:00放送
出演:高橋一生、橋爪功、本田翼
脚本:橋部敦子
監督:藤田明二(テレビ朝日)、竹園元(テレビ朝日)、松尾崇(KADOKAWA)
ゼネラルプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:中込卓也(テレビ朝日)、山形亮介(KADOKAWA)、新井宏美(KADOKAWA)
制作著作:テレビ朝日
制作協力:KADOKAWA
©テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/6byoukannokiseki/
公式Twitter:@6secEx

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる