『大病院占拠』さまざまな作品を想起させる設定 謎に包まれた10人の鬼のキャスティング
1月14日にスタートした日本テレビ系土曜ドラマ『大病院占拠』。作品のテイストとしては、同じ尾上貴洋プロデューサーによる『ボイス 110緊急指令室』(日本テレビ系)シリーズや同じく日本テレビ系で放送された『レッドアイズ 監視捜査班』(後者は脚本家も同じ福田哲平だ)を想起させるものがある。櫻井翔演じる刑事の主人公がPTSDを抱えているという点も、この2作の主人公にどこか通じているわけで。そのうえで、今回は病院で起きる立てこもり事件というワンシチュエーション。どうせなら映画で一気に見せても良さそうな題材を、ワンクールでどのように描くのかという点には興味が沸く。
1年前に起きたガソリンスタンドでの立てこもり事件で人質を守ろうとし、犯人の命を奪ってしまった捜査一課の武蔵三郎(櫻井翔)。その事件を機に休職し、妻の裕子(比嘉愛未)や娘とは別居。裕子が心臓外科医として勤めている界星堂病院の心療内科に通院していた。ある時、三郎は診察の帰りに立ち寄った病院内のトイレで爆弾を発見する。次の瞬間それが爆発し、間一髪のところで難を逃れるのだが、すでに病院内には武装集団が押し入り大混乱の状態に。なんとか身を隠した三郎は、かろうじて外部と連絡が取れる無線機を使って、同期の和泉さくら(ソニン)が指揮する県警の捜査本部に院内の状況を報告するのである。
鬼の面をかぶった武装集団によって大病院が占拠される。仮に明確な目的があったとしても、まったくもって合理的ではない立てこもり事件のなかでも圧倒的に合理的ではないシチュエーションに思えてしまうのだが、不思議と映画やドラマではよくみる話である。本作のように特徴的な面で顔を隠すといえば『仮面病棟』があったし、作品としてのテイストはだいぶ違うとはいえ、長い目で見れば『ナースのお仕事 ザ・ムービー』だって“病院占拠もの”のひとつだ。
序盤のシーンで病院にやってきた三郎が通るロビーのテレビ画面には、新型ウイルスの集団感染の話題が取り沙汰されている。もちろんこれは新型コロナウイルスの発生初期に起きたダイヤモンド・プリンセス号の一件を模したものではあるが、それを見てふと頭をよぎるのが“バイオテロ”を目的とした『アンフェア the movie』である。もっといえば高度なセキュリティに守られ、いざとなったら病院の建物全体が封鎖されて要塞と化すという点は『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』における湾岸署そのものではないか。
何にせよ、犯人グループである“鬼”たちの動機やねらいといったものは第1話の段階ではまだまだ明らかにされない。それでも鬼たちが「“例の場所”への侵入経路を探す」と話しているのは何らかのヒントとなるのだろう。他にも病院の建物がまだ新しく6階から10階の部分がまだ使われていないという点など、気になるところを挙げていけばきりがないわけで。そうした伏線の整理もさることながら、なんといっても全部で10人いるらしい鬼たちのキャスティング。これが徐々に明かされていくことが、この作品の大きな見どころとなるのだろう。
■放送情報
『大病院占拠』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00~放送
出演:櫻井翔、比嘉愛未、ソニン、白洲迅、宮本茉由、ぐんぴぃ(春とヒコーキ)、平山浩行、津田寛治、稲葉友、阪田マサノブ、笠原秀幸、筒井真理子、渡部篤郎
脚本:福田哲平
演出:大谷太郎
チーフプロデューサー:田中宏史
プロデューサー:尾上貴洋、茂山佳則
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ
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