『忍者に結婚は難しい』鈴木伸之の素直さが視聴者の心を掴む　もどかしい夫婦のすれ違い

　鈴木伸之演じるダメ夫が愛くるしい『忍者に結婚は難しい』（フジテレビ系）の第2話では、もどかしい夫婦のすれ違いと本音が描かれる。そして今週もゲストの“山田”が登場。遠藤憲一が扮する、どこか怪しいキッチンカーのオーナー・山田が、蛍（菜々緒）に「鶏肉にします？　チキンにします？」と任務を与えるのだった。

　　悟郎（鈴木伸之）との生活に嫌気がさした蛍は、離婚届を置いて家を飛び出した。しばらく実家に居候することになるが、スマホの悟郎からのメッセージさえ開こうとしない。一方で、悟郎は蛍に帰ってきてもらうために必死になっていた。既読にならずともメッセージを送り続け、苦手な家事も頑張った。そんな悟郎の姿から蛍が徐々に心を開こうとした矢先、小夜（吉谷彩子）の存在が障壁になってしまう。悟郎と小夜は幼なじみで、お互いが初恋の相手だったのだ。偶然それを知ってしまった蛍は、改めて離婚の話を進めることに。

　第2話で注目すべきは、なんと言っても悟郎の健気なかわいさだ。第1話では妻の蛍に叱られてばかりで、パンくずはこぼす、服は脱ぎ散らかしっぱなしというだらしない生活ぶりに眉をひそめた全国の妻たちも多かったことだろう。しかし悟郎はそのだらしなさを打ち消すくらいの、眩しすぎる真っ直ぐな瞳と強烈な愛嬌で視聴者と蛍の心をかき乱す。大きな身体で身をかがめてトイレ掃除する姿や、蛍が帰ってこなくてうなだれる表情など、全力で表現される“一生懸命さ”についつい日頃のダメっぷりも許してしまいたくなる。加えて、既読にならなくても100件以上にわたって送り続けてきたLINEもまた視聴者の心を掴むポイントだろう。蛍からは「日記かよ」と突っ込まれていたが、些細な日常や食べた物に添えられた言葉からは、会えない時間も蛍のことを考えているのがしっかりと伝わってくる。こうした些細なシーンからも悟郎の真っ直ぐな想いが溢れており、そのディテールが作品をドラマチックにしているのだ。

　さらに本作では伊賀忍者と甲賀忍者の派閥も詳しく描かれている。実は悟郎は任務では甲賀忍者の存在に気づくなど、いい働きを見せていた。本人はこれまで出世欲がなかったようだが、同僚の祐樹（勝地涼）からも「結果を出せば出世できる」とアドバイスをもらえるなど、仕事面では十分優秀だし活躍もできそうな様子。だが悟郎は気付いていないが、蛍のためを思って出世すればするほど、お互いは引き離され遠い存在になってしまう。そんなジレンマを抱えた恋だからこそ、余計に悟郎の健気なかわいさが心に響く。

　悟郎の頑張りむなしく結局和解には至らなかったが、ラストで蛍がキッチンカーのオーナーから新たな任務を課せられるなど急展開も。国会議員の赤巻（信太昌之）が薬物で死んだ事件も解き明かされないまま、蛍は次の任務に向かうことになる。そして悟郎も同様に、伊賀忍者として蛍と対立する任務を任されていた。

　次週の“山田”は誰が登場するのか、そして悟郎と蛍の夫婦関係はどうなっていくのか。いよいよ伊賀と甲賀の忍者パートも大きく動くことになりそうだ。

■放送情報
木曜劇場『忍者に結婚は難しい』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00～22:54放送
出演：菜々緒、鈴木伸之、勝地涼、山本舞香、吉谷彩子、藤原大祐、筧美和子、ともさかりえ、古田新太、市村正親ほか
原作：横関大『忍者に結婚は難しい』（講談社刊）
脚本：松田裕子
演出：土方政人、木下高男、小林義則、北坊信一
プロデュース：貸川聡子
編成企画：髙木由佳（フジテレビ）
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