『相棒』が描いたさまざまな愛の形 右京×亀山の年齢を重ねたからこその楽しいトークも

『相棒』が描いたさまざまな愛の形

 実は、南野は、武志の家を営業で訪れただけの営業マンで、5千万円が関わる事件に巻き込まれてしまったのは、武志の本当の父親だった。南野は麻雀好きで、自分のことばかり考え、優柔不断なダメ男のようだが、“他人”であるはずの武志には一生懸命だ。父親がしばらく帰ってこないという武志のために、一緒に遊んだり、ご飯を食べたりしていたのだ。

 それだけでなく、なんとか父親を探し出そうと事件のことを調べ、真犯人に誘拐されてしまった武志を救い出そうと、汗だくになって、震えながらも奮闘していたのだった。武志は、南野のことを「一緒に泣いたり怒ったりしてくれる人は初めてだった」と言っている。両親が離婚し、父親も仕事で家にいないことが多かった武志にとって、南野は大切な存在だったのだろう。南野にとっての武志も、それは、同じことだったに違いない。一見、気弱そうな南野にも男気があるのだ。やはり、見ただけでは分からないことがたくさんある。

 「そこに愛はあるんか?」というのは、亀山がレストランで夕食を取っているときに、美和子(鈴木砂羽)にハンバーグを一口もあげなかったことから、美和子が拗ねて言った一言だ。自分のことばかり考えていたという南野は、いつの間にか武志のことを含めて“自分のこと”として考えられるようになっていた。武志のために身体を張った南野の行動は、愛の形のひとつといえるだろう。もちろん、美和子の機嫌を取るために、彼女の好きな甘栗を用意する亀山の行動も愛だ。それぞれの愛の表現の仕方に心がほっこりとあたたかくなった。

■放送情報
『相棒 season21』
テレビ朝日系にて、毎週水曜21:00~21:54放送
出演:水谷豊、寺脇康文、森口瑤子、鈴木砂羽、川原和久、山中崇史、篠原ゆき子、山西惇、田中隆三、神保悟志、小野了、片桐竜次、杉本哲太、仲間由紀恵、石坂浩二ほか
エグゼクティブプロデューサー:桑田潔
チーフプロデューサー:佐藤凉一
プロデューサー:高野渉、西平敦郎、土田真通
脚本:輿水泰弘ほか
監督:橋本一ほか
音楽:池頼広
制作:テレビ朝日、東映
©テレビ朝日・東映
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
公式Twitter:@AibouNow

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