水谷豊が見せた右京の本気 『相棒』元日スペシャルは第2章の幕開けに
新しい年を迎え、今年1年の目標を立てている人も多いのではないだろうか。「去年はサボってしまったこういうことがやりたい」「今までできなかったこういうことができるようになりたい」など、目標を立てているときは、自分の理想の未来を思い描く。誰にでも理想はあるものだ。それは1月1日にテレビ朝日系で放送された『相棒 season21』元日スペシャルに登場した大物衆議院議員・袴田茂昭(片岡孝太郎)でも同じことのようだ。
ある日、袴田の屋敷に、「邸内の金塊を盗む」という不穏な予告状が届く。警察には知られたくなかった袴田は、息子の茂斗(森崎ウィン)を通じて、全国の美術館での窃盗事件を解決に導いたという民間の探偵社・熟年探偵団に調査を依頼する。しかし、同じ時期に右京(水谷豊)と亀山(寺脇康文)は熟年探偵団に興味を持ち、事務所を訪問していた。右京は、ふとしたことから再び袴田と関わりを持っていくこととなる。
袴田はかつて、右京に殺人教唆の罪を暴かれそうになるも、当時の秘書に罪をなすりつけることで逮捕起訴を免れている。袴田の行動に右京は相当怒っており、袴田も真実を明らかにしようとする右京を嫌っていた。袴田の屋敷を訪れた右京は、金塊のことを調べつつも、ことあるごとに過去の事件のことを話題に出すなど、まったく諦めていないようだった。
屋敷内にある金塊は、どうやら袴田が受け取った賄賂であるらしい。自分に不都合な人物を殺そうとする、その罪を秘書になすりつける、そして賄賂を受け取る。これだけのことをやっている袴田はわかりやすく悪徳政治家なのだが、その割には態度が慎ましやかだ。屋敷では、妻の虹子(いしのようこ)にガミガミ言われ、言い返すこともできない。袴田家での袴田はあまりに肩身が狭そうで、かわいそうになってしまう。父の後継者として修行をしている茂斗も、どこにいても袴田のことを、「先生」と呼ぶ。もちろん、議員であるからそう呼ばれることには慣れているだろうが、息子から“お父さん”と呼ばれないのはどんな気持ちなのだろうか。無愛想な袴田の顔は、右京が目の前にいる不機嫌さからきているのだと思っていたのだが、もしかしたらいろいろなものが積もり積もった寂しさが浮かんでいたのかもしれない。