丸山礼演じる“自サバ女”が愛おしくなる 『ワタシってサバサバしてるから』の不思議な魅力

『ワタサバ』“自サバ女”が愛おしくなる

 読んだことはなくても、誰もが一度は目にしたことがあるであろう漫画を原作とした丸山礼主演のドラマ『ワタシってサバサバしてるから』(以下、『ワタサバ』)が1月9日より、NHK夜ドラ枠で放送開始となる。

 この枠は新設されてまだ1年未満だが、withコロナ時代の厳しさをキャバ嬢から宅配ドライバーに転身した主人公の目線でリアルに映した『あなたのブツが、ここに』(NHK総合)や、食を通して惹かれ合っていく2人の女性を捉えながら、私たちを縛るジェンダーバイアスを浮き彫りにした『作りたい女と食べたい女』(NHK総合)など、“いま”を切り取った挑戦作が次々と生まれてきた。

 そんな中、同枠で2023年最初に放送される『ワタサバ』は少々毛色の違う作品に思えるかもしれない。

 原作漫画は約2年前、電子書籍配信サイト「めちゃコミック」で連載が始まった。インパクトのある漫画のコマを採用したバナー広告で国内電子書籍市場においてトップクラスの利用者数を誇る同サイトだが、『ワタサバ』もその広告で話題を集めた漫画の一つ。主人公である網浜奈美が「私 女友達より男友達といるほうがラクなんだよね」などと豪語するコマが多くの人の興味を惹き、バズを生み出した。

 日本テレビの情報番組『スッキリ』でも特集が組まれ、奈美のような“自称サバサバ女”の生態が明らかに。自称サバサバ女、通称“自サバ女”とは「私サバサバしてるからさ〜」という言葉を免罪符にして、相手の気持ちもお構いなく思ったことをズバッと伝える女性のこと。「女子って面倒くさい」とやたら同性を下げる発言を繰り返すが、その実誰より繊細だったり陰湿だったりする。

 『ワタサバ』では奈美がそんな自サバ女の言動あるあるを繰り返し、周囲に不快な思いをさせ、時に痛い目に遭う。老婆心ながら、「実写ドラマ化されたら観る人の溜飲を下げるためだけの勧善懲悪ものになってしまうのではないか?」「それは夜ドラっぽくないのでは?」と当初は感じていたが、見どころを5分にまとめたスペシャル動画を観てその不安は解消された。

 ものまね芸人である主演の丸山に、よく言動を真似されるモデルでタレントのアンミカ。今回、ストーリーテラーとして登場する彼女は動画の冒頭でこう告げる。

 「『ワタシってサバサバしてるから』って言う女性に会ったことがある人も多いと思います。ワタシってサバサバ、略してワタサバ。このドラマはそんな女性の生態をご覧いただき、好きになってもらおうという物語です」

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