大泉洋、『鎌倉殿の13人』などで見せた新たな一面 『紅白』までの2022年を振り返る
3年連続で『NHK紅白歌合戦』の司会を務める大泉洋。2022年も俳優として大活躍だった彼の1年を振り返りたい。
1月からは、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演。4月からは『元彼の遺言状』(フジテレビ系)に出演するなど、作品は少ないながらも、テレビで目にする機会も多かった。
小説が原作の『元彼の遺言状』では、綾瀬はるか演じる敏腕弁護士の剣持麗子の元カレ・栄治が亡くなり、彼女のもとに「弁護士として相談に乗ってほしい」と電話をしてくる篠田敬太郎を演じた。篠田は、栄治の暮らす別荘の管理人をしていて、ミステリー作家を目指しており、栄治の死後、麗子に対して栄治の財産を山分けする計画を持ち掛ける。
『元彼の遺言状』大泉洋の正体がついに明らかに タイトル回収の最終章へ
篠田(大泉洋)が取り出した偽造の身分証明書と、「殺人犯として警察に追われている」という告白。それでも自分は無実だという篠田を信じ…
敬太郎は、明るく料理上手で、傍若無人な麗子に対しても、優しく接する役であるが、登場シーンから、どこか怪しげで謎めいた雰囲気も漂わせていた。それもそのはず、第7話の終わりで敬太郎は、自分が殺人事件の容疑者であり、篠田敬太郎という名前は偽名であり、本当の名前は別にあると告白するのだった。
若く気性の激しい麗子と、彼女より年上でそれに抗うことのない“ケア”の人である敬太郎は、まさに凸凹コンビであり、そんなコンビをまだまだ観ていたい、この物語がずっと続けばいいと思った人も多いのではないだろうか。実際、ドラマが第10話で完結した後に、エピローグとしての第11話も放送され、篠田がその後、ついに小説家となるエピソードも放送された。ふたりの凸凹コンビはこの後も続いていくのだと実感させられる結末となっていた。
TEAM NACS『LOOSER 2022』新ビジュアル公開 18年前の公演と同じ立ち位置に
TEAM NACS25周年最終プロジェクト『LOOSER 2022』の新ビジュアルが公開された。 『LOOSER 2022』…
今年は、TEAM NACS 25周年記念作品『LOOSER 2022』の配信・上映もあった。25周年を記念し、過去に上演された脚本・演出:森崎博之の舞台『LOOSER』の内容を元に、監督・木村ひさし、脚本・田中眞一によって映像作品としてよみがえらせた。この25周年企画が、実写映画のような場面と、舞台セットの中に迷い込んだようでいて、そこは幕末であったという場面を入り混じらせた映像作品であったことに度肝を抜かされたし、その視聴方法も、配信に加え、メンバーの舞台挨拶付きでの映画館での上映、全国の映画館でのライブビューイングという方式であったのも、新鮮な試みであったと思う。いまだソフト化されていないが、リリースされた際には何度も観返したい作品である。
大泉洋出演の今年公開された映画は、12月公開の『月の満ち欠け』1本のみであった。佐藤正午の長編小説を原作に、「生まれ変わり」をテーマとした作品で、大泉は主演を務めた。
愛する妻・梢(柴咲コウ)と娘・瑠璃(菊池日菜子)と幸せに暮らしていた小山内堅(大泉洋)。しかし、ある日突然、妻と娘は交通事故で帰らぬ人となってしまう。悲しみに暮れていた彼のところに、三角哲彦(目黒蓮)という青年が訪ねてくる。三角は、高校生で亡くなった小山内の娘の瑠璃が、自分のかつて愛した瑠璃(有村架純)の生まれ変わりではないかと言うのだった。
この作品での大泉は、幼い娘の謎の行動も、寛容に受け止めるところがあり、妻に対しても、結婚して何年も経ってもかわらぬ愛情を注いだりと、理想的な父親を演じている。もともとの小山内は、サラリーマンとして責任ある仕事を任されていたが、娘と妻の死後には、失意のために退職し、故郷の八戸で暮らしている。年齢も20代から50代までを演じることもあったり、心境や境遇の変化もあったりで、大泉の見た目もがらりと変わっていく。
また、娘が生まれ変わりであることをどう受け止めていいのかわからない場面や、常識が邪魔をして柔軟になれない場面、最後の最後に、また新たな彼をゆるがす出来事が起こったときなどに見せる、複雑な表情などにも注目したい作品であった。数々の作品を経験している大泉であっても、『月の満ち欠け』のような作品は新鮮であったのではないだろうか。ちなみに、妻役の柴咲コウとは、未来と過去を行き来するファンタジックな作品『青天の霹靂』でも、夫婦役を演じている。