今祥枝の「2022年 年間ベスト海外ドラマTOP10」　アメリカのPeekTV時代の終焉

　リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2022年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメの4つのカテゴリーに分け、海外ドラマの場合は、2022年に日本で放送・配信された作品（シーズン2なども含む）の中から、執筆者が独自の観点で10作品をセレクト。第11回の選者は、映画・海外ドラマライターの今祥枝。（編集部）

1．『Pachinko パチンコ』（Apple TV+）
2．『メディア王～華麗なる一族～』S3（U-NEXT）
3．『セヴェランス』（Apple TV+）
4．『デリー・ガールズ ～アイルランド青春物語～』S3（Netflix）
5．『アトランタ』S3、4（ディズニープラス、Netflix）
6．『スモール・アックス』（スターチャンネルEX）
7．『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』S4（ディズニープラス）
8．『バリー』S3（U-NEXT）
9．『TOKYO VICE』（WOWOW）
10．『アボット・エレメンタリー』（ディズニープラス）
次点．『イエローストーン』S5が上陸していたらトップ10に入れた。

　2022年は、いよいよもってOTT市場の過酷な生き残り競争に突入し札束の殴り合いが激化。飽和状態のオリジナルコンテンツから、こちらも巨費が投じられるスポーツ中継が各社の次なる一手になっている。Netflixが力を入れているゲーム市場への参入も注目すべき動きなのだろう。ローカルはまた個々の事情があるが、日本は新参者のDMMが次のU-NEXTとなるのだろうか。

　そうした中で、TV＆配信におけるオリジナルコンテンツにおいてはIP（知的財産）獲得とそのユニバースの構築が、各社の最も優先される使命であることがあからさまになった年だった。競争が激化し、ユーザーが契約する配信サービスを厳選する時代に必須となるのは、いかに目玉作品を差別化するか。勢い、大金を投じた大型の作品に収斂されていく。映画業界と同じで、今に始まったことではないがフランチャイズ全盛時代である。アメリカの今期（2022年〜2023年シーズン）の第1ラウンド（地上波・ケーブル・配信含めて）をチェックしていても、続編や前日譚、リメイク、リブート、スピンオフ、ユニバース構築を目的とする企画のオンパレードで心底うんざりした。それが米国TV業界の常套手段であるとはいえ、いくらなんでも「停滞」なのでは。