『舞いあがれ!』高橋克典と横山裕の考え方の差が浮き彫りに “自己責任論”の落とし穴

『舞いあがれ!』横山裕が自己責任論を語る

 舞(福原遥)の父・浩太(高橋克典)が酷い腹痛を訴え、救急車で運ばれた。仕事のストレスによる胃潰瘍だという。『舞いあがれ!』(NHK総合)第13週が幕を開け、東大阪に帰ってきた舞は実家の工場が置かれた現状を知る。

 そのまま、舞の親友・久留美(山下美月)が勤める病院に1週間入院となった浩太。五島から慌てて駆けつけた舞だったが、浩太は病状が安定し、すぐにでも仕事復帰しようとして、めぐみ(永作博美)にたしなめられるほど元気になっていた。

 だが、浩太が早く退院したがるのには理由がある。新しく建てた工場の借金が残っているにもかかわらず、リーマンショックの影響で取引先からの受注量が減少。家の貯金を切り崩し、従業員の給料を払わなければならないほどの経営不振に陥っていた。浩太が胃潰瘍になったのは、新しい仕事をもらうために方々に頭を下げる日々を送っていた矢先の出来事だったという。

 想像以上の厳しい現状に愕然とする舞。でも、浩太はまだ希望を捨ててはいない。「岩倉螺子製作所」から「株式会社IWAKURA」になってから、毎日浩太が記している“歩みノート”には日々の出来事やネジのアイデア、そしてこれからの夢が詰まっていた。

 その夢の一つが昔から変わらず、飛行機の部品を作ること。「今はきついけどな、ここを乗り越えたらグッと夢に近づけるわ」と浩太は舞に熱く語る。浩太にとって、2年間の厳しい訓練に耐え、無事に航空会社の内定を勝ち取った舞の存在は心の支えだった。できなかったことが、少しずつできるようになっていく日々の楽しさについて盛り上がる2人の姿は、父娘というよりも同志。べったりしているわけでもなく、少し離れた距離からお互いの夢を応援し合う関係性は理想とも言える。

 一方で、長男の悠人(横山裕)と浩太はどこか折り合いが悪い。悠人はお金に苦労してまで、ものづくりに情熱をかける浩太のことが理解できないし、浩太も浩太で大金を稼ぐこと自体が目的になっている悠人のことを心の底では認められずにいる。だけど、悠人が東大を卒業し、雑誌に取り上げられるほど有名な投資家になるまでの道のりも決して平坦ではなかったはず。彼もまた努力家であることには変わりない。

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