『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデースペシャル』で思い出す、彼らの愛おしさ

『GotG ホリデー・スペシャル』の価値

 押し付けがましさがない、彼らなりのクリスマス。その発端となったピーターの気持ちを軸に物語は進むが、面白いことに彼は画面にほんの数分しか出てこない。スケジュールの忙しさもあって、何となく彼のシーンはまとめて1日で撮影したのかと邪推してしまうくらいだが、逆に最小限にしか映っていないのに作品全体に彼の存在が色濃く残るように作られているのはテクニカル面で巧いと感じた。

 ヨンドゥとのシーンはやはり時間が経ったとはいえ今でもエモーショナルに感じるし、彼との思い出を含め、これまでのシリーズと同じように改めて “家族”のことを描いた本作。制作においては随分前から企画が立っていたものの、新型コロナウイルス流行により延期になっていた。2021年7月27日にColliderが掲載したインタビューで、ガン監督は本作を「ガーディアンズについての物語であり、第3作を観る前に知っておくべきことを知ることができる」と、『ボリューム3』との強い関連性を強調している。

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3」2023年5月3日(水・祝)劇場公開

 公開された予告編は、『GotG ホリデー・スペシャル』を観ていると余計にヘビーでエモーショナルな印象を与える。『ホリデー・スペシャル』がピーターの悲しみという感情を基点にした物語だったのに対し、予告で泣き叫ぶピーター、マンティス、そして喜びを表すネビュラと、続編も引き続きキャラクターそれぞれの“感情”に焦点が当てられそうな予感。何より気になるのは、これまで深く語られてこなかったロケットのオリジンが描かれること。それと同時に不穏なカットも多く、明らかにハートブレイキングな展開になりそうなことである。ガン監督は「物語はこれで終わりです。(中略)全員死ぬわけではありません」と、本作が『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズの完結編であることを今年のサンディエゴ・コミコンにて公表している。加えて、本作の脚本を描く際には以前から監督自身が強い共感を抱いていたロケットに対して「彼は宇宙で最も悲しき生き物である」という考えを以てして挑んだと言う。ヴィランとして登場するハイ・エボリューショナリーはロケットの過去に大きく関わっている人物でもあるため、彼の物語が全体のストーリーに大きなインパクトを与えることは間違いないだろう。

 また、誰かを失ったり、悲しい展開になったりするかもしれない。それでも今は、まだ『ホリデー・スペシャル』に漂う多幸感を堪能しておこうじゃないか。これがガーディアンズにとって最後の“団らん”になるかもしれないから。

参照

https://collider.com/guardians-of-the-galaxy-3-trailer-description-baby-rocket-adam-warlock/
https://collider.com/guardians-of-the-galaxy-holiday-special-vol-3-connections-filming-details-james-gunn-interview/

■配信情報
『マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』
ディズニープラスにて独占配信中
©︎2022 Marvel

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「作品評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる