『メイドインアビス』“生の積み重ね”をリアルに描いた最終話 黄金郷の物語がついに終幕

『メイドインアビス』黄金郷の物語が終幕

 TVアニメ『メイドインアビス 烈日の黄金郷』の第12話「黄金」がTOKYO MXほかにて放送された。最終回となる今回は1時間の拡大版となっており、成れ果て村の行方とファプタの決断をまるで映画のようなクオリティでじっくりと描いた。

 第12話では数々のシーンが描かれたが、印象的だったのはリコとワズキャンの会話の中にも出てきた「積み重ね」という言葉だ。生きることは積み重ねであり、積み重ねとは生きること。アビスという大穴へ挑み、成れ果てと姿を変えてもなお、ワズキャンはリコやファプタたちのような後に続くものを待っていた。そんなワズキャンの思惑とは人以上のものになるということだった。その方法として彼は突飛な方法ではなく、積み重ねだけが人を人以上に足らしめると言う。このことは『メイドインアビス』の全体を通した大きなテーマ性を持つものであるように思えてならない。

 「せめて夢を叶えて絶望しておくれ」と話して消えていくワズキャンに対して、「あなたの言う通りになんかならないよ」と彼の言葉を意にも介さず、先に進むことを宣言するリコにはたくましさを感じるとともに、それを「いいね」と称賛するワズキャンとのやり取りから2人は改めて似た者同士なんだと思った。

 そしてその生の積み重ねをファプタは村人を通じて知るのだった。村人がファプタの血肉となることによって、今の母を知るということに繋がるのだ。村人にとって恐怖でもあり、畏敬の対象でもあったファプタとの対話シーンで、自らの役目を受け入れた村人の心意気には胸を打たれたし、改めて価値の積み重ねという概念を強く感じさせた。そしてファプタは力を使って村を崩壊させ、村そのものを精算するのだった。

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