唐田えりか、活動休止期間を経て辿り着いた現在地 「変わったことを見せないといけない」
初めて出会った男女が流れるように街をさまよいながら、曖昧な会話の中に真実を探り合う映画『の方へ、流れる』で遠藤雄弥と共にW主演を務めた唐田えりか。オーディションで役を勝ち取ったという本作が、唐田にとって3年ぶりの主演映画となる。活動休止期間を経ての変化や、演技への率直な思いについて、唐田に話を聞いた。【インタビューの最後にはコメント動画あり】
「大切な人たちに、お芝居を通して恩返しがしたい」
ーー久しぶりの映画出演になりますが、今回の作品はオーディションで出演が決まったそうですね。
唐田えりか(以下、唐田):マネージャーさんから「こういう作品のオーディションがあるけど……」とお話をいただいて、受けたのがきっかけです。オーディションはちょうど1年前くらいで、決まってから撮影に入るまでもすぐでした。私自身、絶対にこの作品をやりたいと思っていたので、結果が来るまではすごくドキドキしていたのですが、受かったと聞いたときはものすごく嬉しかったです。
ーー脚本を読まれたうえでオーディションに参加されたんですか?
唐田:そうですね。いただいた脚本をまず読ませていただいて、竹馬(靖具)さんの全作品も観てからオーディションに臨みました。私自身、これまであまり会話劇をやったことがなかったので、最初に脚本を読んだときは「たくさんしゃべるな……」という印象で(笑)。ただ、読み進めていくにつれて、脚本の中にどんどん引き込まれていくというか。不思議なお話ではあるけれど、いろいろ考えさせられる言葉だったり、自分はどうなんだろうと思うところもあって、面白い作品だなと思いました。
ーー映画の尺自体は1時間程度ですが、セリフの量は2時間の長編映画くらいありますよね。映画を観ていて、唐田さんと遠藤雄弥さんのセリフがとてもすんなり入ってくるのが印象的でした。
唐田:ありがとうございます。撮影に入る前の準備段階で、たくさん本読みをして、本当にセリフをたくさん言っていたので、セリフが体に染みついた状態で本番に入れたのがすごく大きかったと思います。だから、現場に行って遠藤さんを前にしても、変に言葉にとらわれることがなく、セリフを発することができたんだろうと思います。
ーー竹馬監督からは“感情を優先させない”という指示があったそうですね。
唐田:役柄的にもそういう見え方がきっと合っていたんだろうなと思います。ただ、タクシーの中でのシーンは、感情を抜いているつもりでも思わず自分の感情が出ちゃったり、「あれ、どうするんだっけ?」みたいな感じで、見失ってしまうようなこともあったりしました。タクシーで移動しながらの撮影だったので、なかなか相談もしづらく、自分で考えていたら、竹馬さんが「どうしましたか?」と気づいてくださって。そのときに、「すごい、全部見破られてるんだ」と思いました。ちゃんと声を聞いてくださる方で安心感と信頼感がありましたし、それと同時に、お芝居でも嘘をつけない緊張感がありました。
ーー完成した作品をご覧になって、唐田さんご自身はどのように感じられましたか?
唐田:私は自分の作品をまだ客観的に観られないところがあるんですけど、この作品は「智徳(遠藤雄弥)ひどいよなぁ……」と思って(笑)。まぁ、里美も里美なんですけど……。でもそこが面白いなと思いました。
ーー智徳みたいな男性はどうですか?
唐田:たぶん好みじゃないかもしれないです……。すみません(笑)。
――いや、大抵の方がそうだと思います(笑)。映画の出演自体も久しぶりでしたが、やはりこの作品にかける思いも大きかったのではないでしょうか。
唐田:長編の映画でお芝居をすること自体が2~3年ぶりだったので、本当に今までの思いが溢れてきました。事務所の方や家族など、大切な人たちに、お芝居を通して恩返しがしたいという思いがあるので、いただいたお仕事を一つ一つ大切にやっていきたいですし、この仕事も丁寧にやりたいという気持ちで挑みました。