『チェンソーマン』マキマとコベニの“本領発揮”が怖い 加速するアクションとゴア描写
そうして集めた30人ほどの彼らに目隠しをし、マキマの能力を発揮するシーン。アニメ放送前に公開されていたPVにもあったシーンだが、やはり原作の中でも映像化への期待が高かった場面である。結果は、期待を遥かに上回るほど鮮烈で残虐。漫画ではトランシーバーで連絡中の男の頭が少し潰れる様子が描かれていたが、基本的には弾ける動作よりもそこにいたはずの人間がいなくなっていて、当たりが血まみれという事後の描写に注力されたいた。しかし、さすがはアニメーション。漫画では描ききれなかった、その動作部分を逆にしっかり映すことで、よりマキマのやっていたことがどれだけヤバいことなのか視覚的に理解しやすくなっている。「ここで私ができることは終わりました」と告げるシーンの爽やかさがギャップとなり、彼女が30人もの男を使って何をしたか、それを理解したとき初めて今回のタイトル「京都より」が恐ろしいものに感じるのだ。そして、地上波で放送したとは思えないほどの、血、血。放送は残りあと3話となっているが、おそらく今回が最も血塗れたエピソードだったのではないだろうか。
そしてもう一人、恐ろしい存在として描かれたのがコベニだ。原作者の藤本によると、当初は撃たれた時、コベニは“荒井を盾にした”という設定があったらしい。コベニは正直、原作でもいまだに謎おおき人物なのだが、永遠の悪魔編で姫野が「荒井より、かなり動ける」と評価していた、その真価を私たちは今回目撃する。これは、ホテルで発狂した時にある程度のヘイトを買ったであろう彼女が挽回するシーンでもあるのだ。凄まじい動きがアニメーションによって強調され、よりコベニの凄さを際立たせている。沢渡アカネに撃たれそうになった時、迷いもせずにデンジの半身を盾にしている点も良い。そんな彼女が過呼吸気味で狂ってしまうシーンでは、担当声優の高橋花林による素晴らしい息遣いの演技が発揮されていた。
やるせない、絶望一色。そんな今回のエンディングを飾ったAimerの「Deep down」はその気配を持続させながら、ただ沈んでいくしかないように思えるほど深い、『チェンソーマン』の女性キャラクターが抱える闇を投影する。物語は、彼らは一体どこへ向かうのか。
■放送・配信情報
『チェンソーマン』
テレビ東京ほかにて、毎週火曜24:00〜放送
Prime Videoにて、毎週火曜25:00〜最速配信
各プラットフォームにて、毎週水曜25:00〜見逃し配信
キャスト:戸谷菊之介(デンジ)、井澤詩織(ポチタ)、楠木ともり(マキマ)、坂田将吾(早川アキ)、伊瀬茉莉也(姫野)、高橋花林(東山コベニ)、八代拓(荒井ヒロカズ)、津田健次郎(岸辺)、内田真礼(天使の悪魔)、花江夏樹(サメの魔人)、内田夕夜(暴力の魔人)、後藤沙緒里(蜘蛛の悪魔)、大地葉(沢渡アカネ)、濱野大輝(サムライソード)
原作:藤本タツキ(集英社『少年ジャンプ+』連載)
監督:中山竜
脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:杉山和隆
アクションディレクター:吉原達矢
チーフ演出:中園真登
悪魔デザイン:押山清高
美術監督:竹田悠介
色彩設計:中野尚美
画面設計:宮原洋平
音楽:牛尾憲輔
オープニング・テーマ:米津玄師「KICK BACK」
挿入歌:マキシマム ザ ホルモン「刃渡り2億センチ」
エンディング・テーマ:
ano「ちゅ、多様性。」
Eve「ファイトソング」
Aimer「Deep down」
Kanaria「大脳的なランデブー」
syudou「インザバックルーム」
女王蜂「バイオレンス」
ずっと真夜中でいいのに。「残機」
TK from 凛として時雨「first death」
TOOBOE「錠剤」
Vaundy「CHAINSAW BLOOD」
PEOPLE 1「DOGLAND」
マキシマム ザ ホルモン「刃渡り2億センチ」
アニメーションプロデューサー:瀬下恵介
制作:MAPPA
©藤本タツキ/集英社・MAPPA
公式サイト:https://chainsawman.dog/
公式Twitter:@CHAINSAWMAN_PR