『クロサギ』氷柱に『ちむどんどん』暢子も 黒島結菜が演じるヒロインの共通点

『クロサギ』黒島結菜の強い意志に伴う“涙”

 周りの人たちに影響を与えるだけの大きなパワーを持ちながらも、自分自身も人との関わりを通して生き方を問い直す。だけど芯の部分は揺るがず、最後は強い意志で自分が選んだ道を全うしようとするのが、黒島の演じるヒロインに共通する部分だ。

 そして、そこにはいつも“涙”が伴う。沖縄で生まれ育った暢子が東京で料理人になることを決めたとき。黒崎の過去を知った氷柱が彼の生き方を肯定しない代わりに、否定もしないと決めたとき。人に理解されないかもしれない道を選ぶのはいつだって覚悟が必要で、その恐怖や不安、新たな世界に踏み入れる喜びなど、さまざまな感情が入り混じった黒島の“泣きの演技”が印象的だ。その純粋さと強さを併せ持った綺麗な涙に、彼女を前にした人物も観ている私たちも心を動かされる。

 『クロサギ』は単なる勧善懲悪の物語ではない。正義と正義がぶつかり合うことで哲学的対話が生まれている。その中心にいるのが、黒崎と氷柱だ。育ってきた環境も立場もまるで正反対だけど、人の心を利用する詐欺師が許せないという思いは共通している。

 だから、氷柱は黒崎が自分の正義を貫こうとしているのを止めることはせず、乗っかりもせず、ただ「あなたのことを気にしている人間が少なくとも1人はここにいる。あなたは1人じゃない」と声をかけた。“氷柱”という名前にどこかクールな印象を持つが、彼女の根っこにある温かさは黒崎の心の氷をも溶かしてくれるものではないだろうか。

■放送情報
金曜ドラマ『クロサギ』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:平野紫耀(King & Prince)、黒島結菜、山本耕史、坂東彌十郎、船越英一郎(特別出演)、三浦友和
原作:黒丸、夏原武(原案)『クロサギ』シリーズ(小学館刊)
脚本:篠﨑絵里子
プロデューサー:武田梓、那須田淳
演出:田中健太、石井康晴、平野俊一
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kurosagi_tbs/

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