『シュルプ』新星ムン・サンミンが自分の道を切り開く 後継者を決める選抜試験の行方は?

『シュルプ』ムン・サンミンが道を切り開く

 Netflixで配信中の『シュルプ』では世子(ぺ・イニョク)が亡くなり、我が子を新たな後継者にするべく動き始める側室たち。王妃イム・ファリョン(キム・ヘス)を排除するために大妃(キム・ヘスク)やファン・ウォンヒョン領議政(キム・ウィソン)らは邪魔者を始末していく。けれど悪の手に決して“屈しない”のが王妃であり母親であるファリョンなのだ。

 第7話と第8話では、総勢11名の王子が択賢(最も賢明な者を王に選ぶこと)によって世子の座をかけて争う選抜試験が見どころ。元孫(ソ・ウジン)の命が狙われるなど重苦しい雰囲気から一変し笑いありの展開に。本作は登場人物が多いものの、母と子の物語と後継者争いの主軸がわかりやすく描かれており、史劇でも視聴しやすいのではないだろうか。

 王イ・ホ(チェ・ウォニョン)は択賢を採用することに懸念があったが、王の心を動かしたのはファリョンと次男のソンナム大君(ムン・サンミン)だった。ファリョンは「択賢が持つ本来の意味で王を選んでください」と諭し、不正によって王となった過ちを正す機会を作る。ソンナム大君は、世子のために外の薬を持ってきたことについて、「兄を殺した弟として生きたくない」「自分のすべきこと」だと自分の言動に責任を取り、真実を証明しようとしたのである。20年前にテイン世子が殺されるのを見て見ぬふりをした自分とは違う息子を前にして、親としての心強さや王としての素質を確信したようでもあった。

 一方、ファリョンも王妃の座をかけて覚悟を決めたが、「かなり自信がある」と満面の笑みを浮かべる。どうやらこの選抜試験には何かが仕組まれているようだ。それが中殿だけに伝わる王室教育法なのか、世子の教法を直接受けたソンナム大君だからなのかは明らかではないが、隠されたカラクリは選抜試験を盛り上げるポイントとなるだろう。

 試験のお題は御史の身分となり4日以内にソ・ハムドクとパク・ギョンウ(キム・スンス)を探して王宮に連れてくること。まずここで優位なのはソンナム大君だろう。幼い頃に村で生活した経験がある、つまり外の世界のことはここにいる王子の誰よりも知っているからだ。現にシムソ君(ムン・ソンヒョン)やウィソン君(カン・チャニ/SF9)はすでに母親たちの援護を受けている。

 誰かに邪魔され、命を奪われそうになりながらも前に進むソンナム大君。海水によってなくなっていく道を馬に跨がり駆け抜けていく画は、自ら道を切り開く意志の強さを象徴する壮大なシーンとなった。その姿は「止められぬ波なら乗らねば」と王妃の座をかけた母親とそっくりだ。芯の通ったソンナム大君を演じるムン・サンミンは、史劇ドラマ初挑戦とは思えない、役柄に合った存在感ある演技を披露している。190cm近くある身長で2018年にモデルデビュー。2019年にWebドラマ『クリスマスが嫌いな4つの理由』に初出演。Netflixオリジナルドラマ『マイネーム』(2021年)での若手刑事役を経て、本作で人気に火がつきそうな期待の新人俳優である。

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