『シュルプ』子が親に託した思いとは? 王妃キム・ヘスが見せる圧倒的な強さ

『シュルプ』子が親に託した思いとは

 母親は我が子を助けるためならどんな悪人にもなれる。それゆえに“何もしてあげられない”状況がどれだけ腹立たしく絶望的なものか。王妃イム・ファリョン(キム・ヘス)は命を懸けてでも方法を探し出す。灯が消えゆく息子のもとへ向かうために。

 Netflixで配信中の『シュルプ』第5話では、最も恐れていた事態が起きてしまった。吐血して意識が戻らないままだった世子(ぺ・イニョク)が還らぬ人となってしまったのだ。親にとって子に先立たれてしまうほどの悲しみはないだろう。けれども守るべきものがあるファリョンは悲しみに暮れることも許されない。妻として王イ・ホ(チェ・ウォニョン)を正しい道に導き、義母として世子嬪(ハン・ドンヒ)と元孫(ソ・ウジン)の前では笑顔を見せ、大君たちには生き抜くための王室教育をはじめ、宮中では気丈に振る舞う。全ては世子との「屈しない」という約束があるからだ。  

 大切な人を守る時には身震いするほどの威圧感を出すファリョン。昔は読書が好きだったなんて信じられるだろうか。ファン・ウォニョン領議政(キム・ウィソン)に向けた「噛みちぎり粉々にして飲み込んでやります」とのセリフは、ファリョンが挿している龍のかんざしが吠えているようだ。一番に守りたいものが自分の欲ではない彼女には迷いがない。言葉どおり「国母」の重さをしっかりと背負っている。

 その国母になれなかったのが大妃(キム・ヘスク)だ。息子のイ・ホが世子になっても貴人のままだった大妃がユン王妃を廃王妃に追いやったのは言うまでもない。その上、当時の世子嬪までもがユン王妃(ソ・イスク)を「義母」と慕い自分は認められなかった。これがファリョンを嫌う理由であり大妃のコンプレックスでもある。大妃が知る“庶子を王にする教育法”と、選ばれし者のみぞ知る“中宮殿だけに伝わる王室教育法”の差はどうやっても埋められないのだ。

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