カン・ハヌル、ハ・ジウォンら豪華俳優たちが競演 良作の片鱗を見せる『カーテンコール』

『カーテンコール』名優たちの演技を堪能

 カン・ハヌル主演の韓国ドラマ『カーテンコール』がAmazon Prime Videoで10月31日より配信中だ。本作は、韓国の激動期を生きた余命僅かの北朝鮮出身の女性の孫を演じる主人公ユ・ジェヒョン(カン・ハヌル)の一大演劇の物語だ。

 第1話の冒頭から、韓国が「戦時中国家」であることが圧倒的な映像クオリティで生々しく描かれる。雪の舞う中で、泣き声をあげる乳児を抱くハ・ジウォン演じるチャ・グムスン。凍てつくような寒さの中で、流れる音楽はモーツァルトの「レクイエム」の「ラクリモーザ(涙の日)」で悲劇的であることが示唆される演出だ。乳児を連れた夫婦の緊迫したシーンにハラハラし、おとずれた悲劇的な生き別れに涙した視聴者も多いのではないだろうか。

 多くの賞を受賞し観客動員数1,400万人を突破した名作『国際市場で逢いましょう』(2014年)。本作は、『国際市場で逢いましょう』でも描かれている朝鮮戦争中の作戦である「興南撤収作戦」から物語が始まる。1950年12月、戦況が不利になったアメリカ軍が、興南港に1万4千人の避難民を乗せて撤退した作戦は、のちに「クリスマスの奇跡」といわれることになるのだが、押し寄せる避難民のすべてを乗船させ救出することはかなわなかった。

 本作では、カン・ハヌルとハ・ジウォンが、過去と現代でそれぞれ一人二役を演じている。カン・ハヌルは、過去編のジョンムンと現代のユ・ジェホン、ハ・ジウォンは、過去編でのチャ・グムスンの若い頃と、グムスンにそっくりな現代編での孫であるパク・セヨンをそれぞれ演じている。

 過去から始まるグムスンの壮絶な体験は、身を切られるような痛みを見る者につきつける。我が子と引き離され絶叫するハ・ジウォン演じるグムスンの姿に、ハ・ジウォンが過去に演じた『奇皇后~ふたつの愛 涙の誓い~』(2013年)のスンニャンを思い出した。スンニャンもまた我が子を失い同じように血の出るような叫び声をあげていた。離れ離れになってしまう離散家族が生み出される悲劇の描写が、実際の歴史であるということの残酷さが苦しいシーンだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「海外ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる