『君の花になる』で本田翼の“人間味”が見られるか 批判はテンプレ化と胸キュンが原因?

本田翼の“人間味”が見られるか

 TBS火曜ドラマ『君の花になる』は、ある出来事がきっかけで挫折した元高校教師・仲町あす花(本田翼)が崖っぷちの7人組ボーイズグループ“8LOOM(ブルーム)”の寮母となり、トップアーティストになる夢を共に追いかけることから始まる。

 寮母として、そして主役として本作を支えている本田翼だが、その演技には辛口な意見も多い。そんな批判に対して、ライターの佐藤結衣氏は以下のように分析している。

「俳優さんの演技の印象については、作品の脚本や演出、そして視聴者自身の好みなど様々なものが組み合わさった結果なので、一概に演技力だけの話にしてしまうのは少々酷だと思うのですが……。それでも、作品に出演するたびに本田さんの演技について話題に上るのは、それだけ注目される人気の証でもあると思います。俳優さんは積み上げてきたイメージに対してオファーがくるところもありますから、その型がさらに浸透していきます。本田さんが女優業に挑んで10年。もしかしたら“本田翼の演技はこういう感じ”というイメージする型のようなものが視聴者の中に定着しているのかもしれません。それくらい印象に残る存在感というのは、まぎれもなく演者としての強みでもあるのですが、本田さんのようにいくつもの人気作品に出演していると“いつもの演技”といった感想を抱かれることもあるのではないでしょうか。一方で、圧巻のアクションシーンを披露した『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(フジテレビ系)のように、これまでの“女優・本田翼”の型を超える役や演出を披露する作品と出会えたときには、好感触の声も多く見受けられました。今作で本田さんが演じるあす花というキャラクターは、多くの視聴者の方がイメージする“本田翼の型”のド真ん中といったところなので、多くの声が上がったのかもしれません」

 そんな本田と本作のあす花という役柄の相性について、佐藤氏はどう感じていたのか。

「もともと本田さんは“自分の意見を言うのが苦手だった”という部分を持っているからか、バラエティやYouTubeなどでは懸命にその場を盛り上げようとする姿勢を見受けられます。そうした周りのために頑張る姿は、あす花のキャラクターと親和性が高いのではと感じました。TBS公式YouTubeチャンネルにて公開されている本作の『製作発表』の動画(※)を見ると、宮野真守さん木南晴夏さんといった大人陣と、8LOOMのメンバーを演じる若手陣との中心に立って明るく振る舞っている様子が伺えます。現場で木南さんと盛り上がった話題について身振り手振りを交えて話したり、奥に座る共演者に注目を集めるべく立ち上がって質問を投げかけてみたり、ときにはテンションの高いリアクションで笑いを誘ったりと、あす花を彷彿とさせる部分がいくつも見受けられました。コロナ禍を機にドラマの現場で共演者同士のコミュニケーションを取るのが難しいと言われる中、これほど現場の雰囲気が和気あいあいとしているのは、本田さんの求心力ともいえる“華”があればこそかもしれませんね」

 ボーイズグループ“8LOOM(ブルーム)”のメンバーと恋の芽生えを感じさせるようなシーンもある本作について、佐藤氏は現代のドラマ界隈の中では注意すべき点もあると指摘する。

「本作では、メインキャラクターの男女がハプニング的に床に体が折り重なってしまい、思わず心臓が高鳴る……など、“ラブコメあるある”とも言えるベタな展開が多く見受けられます。“ここが胸キュンのしどころです!”といった感じでスローモーションの演出も。それを“待ってました!”という人もいる一方で、“もうお腹いっぱい”となる人もいるかもしれません。昨今のドラマ視聴者の中には、安直な恋愛シーンに興ざめしてしまう層も少なくないように感じています。個人的には、現実を忘れられるような夢いっぱいでライトな作品もあれば、現実にも通じる考えさせられるずっしりとした重みを感じる作品もあっていいと思うのですが。そのあたりの時代の匂いを嗅ぎ取って作っていくのは難しいところですよね。そもそも“ある日突然ボーイズグループの寮母に!?”という設定はリアリティのあるものではないので、この作品に関しては思い切りその路線を走り抜けてほしいという気持ちもありますが、それでもベタな中に新しい何かを観たいと欲張ってしまうところですね」

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