『シュルプ』キム・ヘスとユ・ソンホが歩む覚悟の道 親子の向き合い方に共感の声も

『シュルプ』親子が歩む覚悟の道

 Netflixで配信中の『シュルプ』では、今日も王妃のイム・ファリョン(キム・ヘス)が王宮中を走っている。靴が脱げてしまったのにも気づかずに、大切な我が子と向き合うため、かけがえのない命を守るために、きっと明日も明後日も走り続けるだろう。

 四男のケソン大君(ユ・ソンホ)が女装している姿を目撃したファリョン。当時は思わず逃げ出してしまったが、子の本当の姿と向き合うためにケソン大君の大切な場所を燃やすという大胆な行動に出る。ファリョンは決して彼を否定したのではない。命を守るだけだったらバレないように証拠を消して“何事もなかったかのように”すればいい。しかしそれではケソン大君の心が死んでしまうことも分かっていた。「どれほど怖かっただろう」と子が背負う苦しみに胸が痛み、何より自分自身も怖かったはずである。ありのままの我が子を受け止め、生き抜く道を作る。どちらかではなくどちらも選択したのは子が幸せでいてほしいという願い、ただそれだけである。

 誰しも人には言えない秘密がありそれを隠しながら生きている。ケソン大君が間違っているのではない。昔も今も生きづらさは付きまとうけれど、一人でも味方がいてくれたらほんの少しは生きやすくなるのではないだろうか。真面目で賢くて兄弟の中では頼りにしている存在でも、まだまだ未完成な子どもだ。道を作ったのはファリョンだが、今日みたいにいつか隠す必要がない日が来ると信じ、これからをどう歩んでいくのかはケソン大君次第である。

 ひとつの傘をさして雨が降る道を歩くファリョンとケソン大君。安心したのか穏やかに笑う子を見たら自分が濡れていることなど気づきもしないのが母親というものなのだろう。第3話のラストでは、2人の歩く姿が母と息子ではなく親と子として並ぶ絵に変わっていく。早くも最終話を飾ってもおかしくない演出に本作の完成度の高さが感じられるシーンだった。 

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