『ゴールデンスプーン』が描く痛ましいまでの貧富の差 ユク・ソンジェの“変貌演技”が光る 

『ゴールデンスプーン』ソンジェの変貌演技

 金のスプーンで貧乏人と財閥御曹司の入れ替わりを描く、BTOBのユク・ソンジェ主演のディズニープラスで配信中の韓国ドラマ『ゴールデンスプーン』。ストーリーは佳境に向けてスピード感を増していく中、韓国では第9話の最高瞬間視聴率が8.7%と自己最高を果たした。

 ユク・ソンジェ演じる貧乏暮らしのイ・スンチョンが、トシングループ財閥御曹司のファン・テヨン(イ・ジョンウォン)に入れ替わりを果たして10年の歳月が流れた。第9話、第10話では、アメリカから帰国したスンチョンがクラスメートたちと再会したところから物語は始まる。スンチョンはろくでなしの財閥4世ファン・テヨンとして、オ・ヨジン(ヨヌ)と婚約していた。

 富裕層たちの社交クラブ「アミクス」で開催中のパーティーに参加するテヨン(ユク・ソンジェ)とヨジン。そこへアミクスで行われている賭博疑惑を調べるために潜入調査に来たナ・ジュヒ(チョン・チェヨン)とイ・スンチョン(イ・ジョンウォン)。テヨンは堕落した御曹司として変貌した姿を見せる。ウルフヘアーに真っ赤なスーツを着て、ピアスと金のネックレスを身に着け、手にはタトゥーも入っている。女性たちと遊んだり酒を飲んだり奔放にふるまうテヨンの怠惰な姿は10年前とは大違いだった。そんなテヨンの変貌ぶりに驚くスンチョンは、語学に堪能ながらも就職することができずにアルバイトをしていた。ジュヒは父の死の真相究明を諦めることなく、放送作家として働いていた。

 テヨンは怠惰な姿を見せ、父ヒョンド(チェ・ウォニョン)や叔父のソ・ジュンテ(チャン・ユル)を油断させて欺きながら、ジュンテや過去の事件、ジュヒの父の死の真犯人を調べていた。そんな中、テヨンの薬物疑惑が報道され、トシングループの株価が急落する。その急落した株を買い占めるスタートアップ企業があった。それはアミクスでも話題の注目会社モストラボだった。

 モストラボ社長としてトシングループの株を買い占め、ジュンテの横領を暴きトシンハイテックの新社長の座に就くテヨン。この時のソンジェのスイッチが入った演技がすこぶるいい。『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』(2017年)で神が憑依したときに見せた、瞬時に切り変わるソンジェ特有の圧巻の表情。軽薄で怠惰なろくでなしから、スタートアップ企業社長への、佇まいも目つきも正反対にスイッチングする。入れ替わり作品で特に重要なのは俳優の演技力だが、ソンジェは、スンチョン、テヨン、怠惰テヨン、冴えたキレを見せる社長テヨンと、何通りものスイッチングを魅せてくれる。さらに除隊後で鍛えられたフィジカルがスーツの背や胸からもわかり、逞しさを増した姿に惚れ惚れさせられて目が離せない。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「海外ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる