『シスターズ』キム・ゴウンら役者陣の圧巻の演技合戦 有終の美を飾った最終回
初回配信時より最終話までネット民を考察で熱狂させたNetflix配信中の『シスターズ』が10月9日に最終回を迎えた。日本のNetflixランキングベスト1位を独占し、海外グローバルランキングでは4位(9月26日~10月2日週)、視聴率も自己最高11.9%で有終の美を飾った。
「(ルイーザ・メイ・オルコットの)『若草物語』の姉妹たちを現代の韓国に連れて来てみたかった」
本作の企画意図には脚本家チョン・ソギョン(『マザー~無償の愛~』)の言葉が綴られている。
「メグの現実感と虚栄心、ジョーの正義感と野心、エイミーの芸術感覚と野望は貧困をどのように切り抜け、どのように成長していくのだろう」
『若草物語』の中でメグ、ジョー、ベス、エイミーの4姉妹はお金と貧しさの中で様々な出来事を通じ、成長していくのだが、チョン・ソギョンが述べた「小さくて素朴なストーリーにはしたくなかった」の言葉の通り、本作は初回から最終話まで、ダイナミックでドラマチックなシチュエーションに二転三転するストーリー、スピーディーな展開で視聴者を夢中にさせたことに成功したといえるだろう。
『若草物語』の中の長女メグは、キム・ゴウンが演じたオ・インジュとして、勤め先の会社の巨大な不正を暴く一端を担うことになる。次女のベスはナム・ジヒョン演じるオ・インギョンとして、正義をつらぬく記者として姉のインジュと共に世の中に悪を白日の下に曝し、エイミーの持つ芸術性や野望は、パク・ジフ演じるオ・イネとして描かれた。
※以下、『シスターズ』第11話、第12話のネタバレを含みます
クライマックスを迎えた第11話、市長選に当選確実となり安心するパク・ジェサン(オム・ギジュン)に青い蘭を渡すウォン・サンア(オム・ジウォン)。このシーンのオム・ギジュンの表情演技が心悲しく、哀れと儚さを感じる秀抜さだ。サンアとともに1から出直すつもりでいたジェサンの緊張から安堵の表情、そして自身に向けられた青い蘭を見た哀しい微笑み演技は、ジェサンのこれまでの人生が走馬灯のように見えるような、全速力でサンアのために走ったのであろう境遇にヴィランながら同情を禁じ得ない。
イネよりサンアの元に絵が届く。サンア、ジェサン、サンウの幼き頃を描いた絵を見て号泣するサンア。悪であるヴィラネスに変容する前のサンア、ヴィラネスのサンアの狂気までもを愛したジェサン、兄のサンウの3人が仲よく寄りそうその絵には、終着点を知らぬ幼子たちの幸せそうな日々が感じられる。歯車が狂う前の日々を描いた絵を、1人になったサンアが見るという悲しくもやり切れない巧みな演出だ。
一方、ジェサンを追い詰めたインジュとインギョンだったが、インジュの口座の700億ウォンが消えてしまい驚愕する中でサンアの策略により警察に逮捕されてしまう。裁判が開かれ、すべての罪がインジュのものとして、弁護士から懲役は20年だと告げられる。インジュは横領が大々的に報道される中、恐怖に慄く。そこへ検察側の証人としてチェ・ドイル(ウィ・ハジュン)が登場し、絶体絶命に怯えるインジュ。そんな中でドイルは全ての不正はサンアによるものだと証言する。