『SPY×FAMILY』ヨルさんの涙が尊い　コミカル料理回に刻まれたフォージャー家の絆

　テレビ東京ほかにて放送中のTVアニメ『SPY×FAMILY（スパイファミリー）』第16話「ヨル’sキッチン／情報屋の恋愛大作戦」では、ヨルが家族のために料理を特訓する。ヨルの完成品を食べる人たちの表情にも注目である。

　ヨルは、料理が苦手だ。彼女が手を加えると、とんでもない色のボロボロになった「何か」が完成する。料理についてロイドが口を出したことはないものの、料理ができないことを気にしていたヨルは、職場の同僚であるカミラに料理の特訓を依頼した。

　カミラの自宅でヨルは、なぜか血が付着しているジャガイモ、魚の頭が入った毒々しい紫色のスープを生み出す。印象的だったのは、包丁さばきである。日頃殺しの仕事しているからか、「包丁は得意です！」と、自信満々な笑顔で、素早いテンポで細かく刻む。手が動きに合わせて細かく振動している描写や、刻まれた肉が宙に浮いている描写が丁寧である。

　ヨルの料理の味見係として招集されたのは、弟のユーリだ。ユーリはヨルが大好きで、幼い頃から食べ慣れていたので、とんでもない色のスープを前にしても嬉しそうにしている。

　ユーリは美味しそうに食べるものの、体は受け付けないのか、涙を流して吐きながら食べていたのが印象的だ。言葉と体が矛盾した描写が、観ていて面白かった。その後、カミラとカミラの恋人であるドミニクが一口食べると気絶したので、やはり見た目通りの、凄まじい味だったのだろう。

　そんなヨルだが、幼い頃に母親に作ってもらったシチューを思い出しながらカミラと共に再現した料理は、上手く作ることができた。ジャガイモが丸々入っていたり、目玉焼きが目玉じゃなかったりと、改善の余地はまだまだありそうだが、見た目は毒々しくなく、しっかりと美味しそうな色をしている。

　ロイドとアーニャは、ヨルが料理を作ると言い出した時はショックを受け、食べる前はかなり警戒していた様子だったが、一口食べると表情がガラッと変わった。2人とも目を輝かせて「おいしい」と伝えたのだった。その様子を見たヨルは、安心して涙を流す。

　家族に喜んでもらうために何かする、家族の笑顔を見て涙を流す。期限付きの仮初めの家族であるからか、こんな日常の一コマが尊く感じた。東西の関係が平和になれば、フォージャー家は解散することになるだろう。東西の平和を願う一方で、この家族の笑顔が1日でも長く続くことを願わずにはいられない。

■放送情報
『SPY×FAMILY』
テレビ東京ほかにて、毎週土曜23:00～23:30放送
原作：遠藤達哉（集英社『少年ジャンプ＋』連載）
監督：古橋一浩
出演：江口拓也、種﨑敦美、早見沙織、吉野裕行、甲斐田裕子、山路和弘、小野賢章、藤原夏海、加藤英美里
キャラクターデザイン：嶋田和晃
総作画監督：嶋田和晃、浅野恭司
助監督：片桐崇、高橋謙仁、原田孝宏
色彩設計：橋本賢
美術設定：谷内優穂、杉本智美、金平和茂
美術監督：永井一男、薄井久代
３DCG監督：今垣佳奈
撮影監督：伏原あかね
副撮影監督：佐久間悠也
編集：齋藤朱里
音楽プロデュース：（K）NoW_NAME
音響監督：はたしょう二
音響効果：出雲範子
制作：WIT STUDIO×CloverWorks
©遠藤達哉／集英社・SPY×FAMILY製作委員会
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