『silent』目黒蓮が音のない世界に置かれた“孤独”を体現 想の苦しみと葛藤に涙が止まらない
当たり前に響いていた大切な人の「声」を、紬(川口春奈)は何度も思い出す。10月6日より新ドラマ『silent』(フジテレビ系)が放送スタートした。本作は、高校時代に惹かれ合った青羽紬と佐倉想(目黒蓮/Snow Man)が、とあることをきっかけに別れを経験し、8年後の東京で再会を果たすラブストーリーだ。だがその再会は一筋縄ではいかず、思いもよらない出来事によって2人は袂を分かつ。天真爛漫でハキハキとした紬を川口春奈が、忘れられない「声」を持つ想をSnow Manの目黒蓮が、そして紬の現在の恋人・湊斗を鈴鹿央士が演じる。美しい劇伴と、作品を彩る様々な「音」、そして登場人物たちが抱える想いを受けて、初回から胸がジーンと熱くなる作品となった。
湊斗との同棲生活をはじめようとしていた紬は、内見に向かう途中の駅で昔の恋人・想を見かける。8年前、紬は東京に進学して遠距離恋愛になった想から「好きな人がいる、別れたい」と一方的にスマホのメッセージのみで伝えられ、フラれてしまっていた。その棘が心に刺さったままの紬は、駅での出来事をきっかけに想のことを思い出すようになる。一方、2人とは同級生で、想の友人だった湊斗も、紬の話をきっかけに縁が切れてしまっていた想のことが気になり始める。だが想の実家を訪ね、妹の萌(桜田ひより)から想の耳が聞こえなくなってしまったことを聞いてからは動揺を隠せずにいた。その後、紬は駅で偶然、想と再会。しかし想はもう昔のように紬と話すことはできなくなってしまっていた......。
第1話では紬と想が積み上げてきた高校時代の思い出を丁寧になぞる一方で、紬と湊斗の“今”を丁寧に描いていた。そして中盤以降は、想の耳のことを受け入れられずに苦しむ湊斗の姿が真摯に描かれ、大切な人が「音」を失うことに傷つく友人の立場を鈴鹿が熱演した。その声にならない想いが痛いほど伝わってきたところで、ラストに怒涛の展開が待ち受ける。紬と想との再会だ。
目黒蓮が演じる想の苦しみと葛藤に涙が止まらない。目黒は音のない世界を生きる想の想いを手話と表情だけで懸命に訴えかける。もう紬の声を聞けないこと、大好きな音楽を聴けなくなってしまったこと、紬と共に楽しめなくなってしまったこと、紬から嫌われる前に距離を置いたこと...... 。一切の言葉を使わずに、まるで捲し立てるかのように語られた感情には、紬を強く想っていたからこその葛藤と痛みが溢れている。目黒は心の丈を手話に乗せ、溢れ出る涙と悔しさの滲む表情で想の気持ちを表現した。想は涙を流しながら紬に訴え続けるのだが、その想いが容易には伝わらないであろうことも同時に痛感することになる。声を失い、紬をも失った過去の苦しみだけでなく、現在進行形で突きつけられる現実に心を痛める様子までもが芝居から感じられ、音のない世界に置かれた想の孤独がひしひしと伝わってきた。目黒が芝居を通して視聴者と全力でぶつかろうとした姿勢がはっきりと感じ取れるほどの気迫に満ちたシーンになったように思う。私たちはこれから、川口、目黒を筆頭に鈴鹿や夏帆、風間俊介らが紡いでいく物語をしっかり受け止めなければならないと気持ちが引き締まる思いだ。
想との再会を果たしたことで、紬の人生もまた大きく変化するだろう。紬、想、そして湊斗たちの今後をしっかりと見守っていきたい。
■放送情報
木曜劇場『silent』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:川口春奈、目黒蓮(Snow Man)、鈴鹿央士、桜田ひより、板垣李光人、夏帆、風間俊介、篠原涼子ほか
脚本:生方美久
演出:風間太樹
プロデュース:村瀬健
音楽:得田真裕
制作:フジテレビ
©︎フジテレビ
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