酒井若菜、“脇役”で重要な地位を築く テレ東のピンチを救った『絶メシ』投稿も話題に

酒井若菜、“脇役”として重要な地位を築く

 そんな彼女を支えた存在が著書『酒井若菜と8人の男たち』(キノブックス)の中でも語られているが、マギー、ユースケ・サンタマリア、板尾創路、岡村隆史など名だたる面々の懐に入り込む、良い意味での愛嬌の良さが印象的だ。テリー伊藤も宮藤官九郎もそうだが、とてもじゃないけど放っておけない魅力がそこにある。近年は名脇役としても活躍する酒井だが、モー子のように主張が強いキャラでなくとも、なぜか空気を一変させる不思議な存在感に目を奪われてしまうのだ。

 ここ数年、もっぱら母親役を演じることが多い酒井。中でも、『透明なゆりかご』(NHK総合)や『グッド・ドクター』(フジテレビ系)での子育てに追い詰められる母親の、感情が溢れるか溢れないかの瀬戸際を行き来する表情と佇まいが印象深い。『シジュウカラ』(テレビ東京系)や『それでも愛を誓いますか?』(テレビ朝日系)で男性の保護欲をくすぐるシングルマザーを演じる中でも、理解できない振る舞いに隠れたその人の葛藤と苦しみを見せてくれた。彼女の著書からも光る繊細でたおやかな感性は芝居にも活かされている。

 大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合)で北条政子を演じる小池栄子や、『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』(TBS系)での中村倫也の姉役も記憶に新しいMEGUMIの演技力も高く評価されているが、酒井もまたドラマや映画に欠かせない名脇役として確固たる地位を築き上げている。『絶メシ』シリーズの佳苗はこれまで彼女が演じてきた何かを抱えている母親とは大きくタイプが異なるが、どこかにいそうでいない妻として世界観に馴染みながらも随所に見えるチャーミングな人柄に惹かれる。酒井若菜は主張しすぎず、隠しすぎず。私たちのもっと知りたいを引き出す魅力的な役者だ。

■放送情報
ドラマ25『絶メシロード season2』
テレビ東京ほかにて、毎週金曜深夜0:52~1:23放送
ネットもテレ東(テレビ東京HP、TVer、GYAO!にて、放送直後より見逃し配信
ひかりTV、Paraviにて、順次見放題配信スタート
出演:濱津隆之、酒井若菜、山本耕史
原案:『絶メシリスト』(博報堂ケトル)
監督:菅井祐介、小沼雄一、名倉良祐
脚本:森ハヤシ、マンボウやしろ、大歳倫弘
企画・脚本・プロデュース:畑中翔太(dea/BABEL LABEL)
プロデューサー:寺原洋平(テレビ東京)、太田凌介(テレビ東京)、石川竜輝(テレコムスタッフ)
制作:テレビ東京、テレコムスタッフ
製作著作:「絶メシロード season2」製作委員会
©「絶メシロード season2」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/zetsumeshiroad2/
公式Twitter:@zetsumeshiroad

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