『ONE PIECE FILM RED』10週連続1位 コロナ期が終わっても続く「独り勝ち時代」

コロナ期が終わっても続く「独り勝ち時代」

 先週末の動員ランキングは、『ONE PIECE FILM RED』が土日2日間で動員16万7000人、興収2億3000万円をあげて10週連続の1位。10月9日までの累計成績は動員1208万人、興収167億7600万円。結果的に、2022年の夏から秋にかけての映画興行は『ONE PIECE FILM RED』一色となった。

 初登場作品で最上位の2位につけたのは『呪い返し師―塩子誕生』。土日2日間の動員は11万5000人、興収は1億4200万円。先週の本コラムでは、現在の日本映画界で起こっている何度目かのホラーブームを取り上げたが、日活配給&幸福の科学出版製作の一連の作品もその流れにのってきたことが興味深い。それにしても、この製作母体とこのジャンルの組み合わせに関しては「まぜるな危険」という気もするのだが……。

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 いずれにせよ、先週末もトップ3にとどまっている『沈黙のパレード』を除いて、9月以降に公開された新作は日本映画、外国映画を問わずどの作品も初速に勢いがなく、その上、息切れも早い。この秋は全国的にシネコンは閑古鳥が鳴いてる状態が続いていて、新型コロナウイルスの影響が去っても、新作に集客力がなければこういうことになってしまう。作品の供給不足に関しては、日本映画に関してはパンデミック期の影響を引きずっている面もあるが、本コラムで再三触れてきたように、ハリウッド映画に関しては作品の減少傾向は今後も恒常的なものとなっていく見込み。外国映画がヒットしない状況を嘆いていた数年前までのフェーズから、事態はさらに進行している。

 今後の公開待機作も、『すずめの戸締まり』(11月11日公開)のような動員が集中しそうな作品はあるものの、それ以外に興行的なインパクトを残しそうな作品はしばらく見当たらない。思えば、今年に入ってからは昨年の『花束みたいな恋をした』のようなサプライズヒットもほとんど見当たらず、シリーズ作品が手堅く順当にヒットするか、『ONE PIECE FILM RED』や『トップガン マーヴェリック』のようにシリーズ作品が予想以上のメガヒットに化けるかの2パターンばかり。映画館に観客が来なければ、そこで本編が始まる前に上映される予告編を観て「次はこの作品を観に行こう」という行動パターンにもつながらず、結果としてテレビのニュースや情報番組などでも取り上げられるほど大ヒットしている特定の作品だけに観客が集中する。パンデミック期以降顕著になったこの「独り勝ち時代」の出口は、今のところどこにも見当たらない。

■公開情報
『ONE PIECE FILM RED』
全国公開中
原作・総合プロデューサー:尾田栄一郎(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
監督:谷口悟朗
脚本:黒岩勉
音楽:中田ヤスタカ
キャラクターデザイン・総作画監督:佐藤雅将
声の出演:田中真弓、中井和哉、岡村明美、山口勝平、平田広明、大谷育江、山口由里子、矢尾一樹、チョー、宝亀克寿、名塚佳織、Ado、津田健次郎、池田秀一
主題歌:「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」Ado (ユニバーサル ミュージック)
配給:東映
©尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会
公式サイト:https://www.onepiece-film.jp

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