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KADOKAWA、東映に松竹やワーナーも ネクストJホラーは新しいムーブメントとなるか?
日本のメジャー配給においてホラー作品の製作が盛んになっている背景としては、近年の海外におけるホラー映画の何度目かのブームの影響というよりも、ここ5年くらいで顕著となったティーンムービーの失速が大きな要因になっているに違いない。特に『カラダ探し』などは確信犯的にティーンムービーの文体をホラー作品に持ち込んでいて、そのことの是非は分かれるとしても、試みとしてはなかなか興味深い。また、『事故物件 恐い間取り』がアジアの広域で海外公開されたことからもわかるように、ティーンムービーとは違ってこのジャンルの日本映画は国外における信頼の蓄積もあるので、海外のマーケットにも開かれている。
低予算、短い撮影期間、若い役者の抜擢など、ティーンムービーとホラー映画はその製作の構造においてはかなり近いところにある。日本のメジャー配給会社に期待するのは、粗製濫造によってすっかりブームが終焉してしまったティーンムービーの二の轍を踏むことなく、ベテラン監督ばかりに頼らず若く才能ある監督のチャレンジの場としても活用し、長期的な視座でこの「いい流れ」をじっくり育ててほしいということだ。
■公開情報
『カラダ探し』
10月14日(金)全国公開
出演:橋本環奈、眞栄田郷敦、山本舞香、神尾楓珠、醍醐虎汰朗、横田真悠
監督:羽住英一郎
脚本:土城温美
原作:ウェルザード『カラダ探し』(エブリスタ)
音楽:菅野祐悟
主題歌:Ado「行方知れず」作詞 作編曲:椎名林檎(ユニバーサル ミュージック)
挿入歌:Ado「リベリオン」作詞 作編曲 Chinozo(ユニバーサル ミュージック)
制作プロダクション:ロボット
配給:ワーナー・ブラザース映画
©︎2022「カラダ探し」製作委員会
公式サイト:karadasagashi.jp
公式Twitter:@karadasagashi_m
公式Instagram:@karadasagashi_movie