『純愛ディソナンス』それぞれの決断が描かれた最終回 奥深く丁寧に正樹を演じた中島裕翔

『純愛ディソナンス』描かれたそれぞれの決断

 同様に、晴翔も慎太郎(髙橋優斗)の言葉で自身の過去、そして後悔と対峙。加賀美(眞島秀和)との親子関係も含め、晴翔らもまた新しくやり直す道を歩むのだろうと感じられた。そして不安定だった愛菜美は、真っ直ぐで素直な路加(佐藤隆太)との関係を築く中で徐々に安定した心を取り戻すようになる。「誰かの特別になれない」ことで苦しんできた2人だが、ようやく居場所を見つけられたのだろう。

 噛み合わずに歪なまま無理やり動いていた歯車が、多くの人物の働きかけによりきっちりと噛み合い、正常に動き出した『純愛ディソナンス』の最終話。初回では捻くれて斜に構えていた正樹を、中盤からはブラック企業で過酷な労働を強いられる正樹を、そして後半からは冴との関係のために努力を続けたひたむきな正樹を演じ、様々な表情を見せてくれた中島裕翔は、本作を牽引するに十分な存在感を示した。そもそもが、多面性のある難しい役であった上に、正樹の成長や冴との出会いの中で訪れる変化に合わせて緩やかに変わっていくキャラクターからは、中島が演技をどれだけ奥深く丁寧に組み立ててきたのかが、しっかりと感じ取れた。10月からの新ドラマ『大奥』(NHK総合)への出演も発表され、ますますの活躍が期待される。吉川愛、比嘉愛未、光石研、佐藤隆太、髙橋優斗をはじめ本作で素晴らしい演技を見せた注目のキャスト陣が次の作品で見せる表情も楽しみだ。

■放送情報
木曜劇場『純愛ディソナンス』
FOD、TVerにて配信中
出演:中島裕翔、吉川愛、比嘉愛未、高橋優斗(HiHi Jets/ジャニーズJr.)、筧美和子、和田正人、畑芽育、藤原大祐、神保悟志、手塚とおる、眞島秀和、富田靖子、光石研、佐藤隆太ほか
脚本:玉田真也、大林利江子、倉光泰子、武井彩
演出:木村真人(共同テレビ)、土方政人(共同テレビ)、菊川誠(共同テレビ)
プロデューサー:森安彩(共同テレビ)、関本純一(共同テレビ)
編成企画:高野舞
主題歌:Hey! Say! JUMP「Fate or Destiny」
制作:フジテレビ
制作・著作:共同テレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/lovedisso_fuji/
公式Twitter:@lovedisso_fuji
公式Instagram:lovedisso_fuji

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