『ブレット・トレイン』のジョーイ・キングに魅了された方へ 子役から現在までの歩み

ジョーイ・キングの魅力を俳優人生から紐解く

子役、ティーン・アイドル、そして俳優へ

 ジョーイ・キングがデビューしたのは、ドラマ『スイート・ライフ』のシーズン2第3話「ヨガでリラックス」、9話「絵本と巣箱」。7歳からすでにキャリアをスタートさせている。(いずれもDisney+で配信中)

 そしてキングという俳優を知るうえで欠かせない作品といえば、初主演作品『ラモーナのおきて』(2010年)だ。

 邦題は、マルマルモリモリなあの作品からインスパイアされているが、別に犬が喋る物語ではない。タイトルを見て避けられてしまうような作品ではあるが、ビバリー・クリアリーによる人気の児童小説シリーズの映画化作品だ。同作でキングは、セレーナ・ゴメス演じるビーザスの妹・ラモーナを演じた。

 残念ながら日本では未公開になってしまったが、『ラモーナのおきて』の撮影当時、ゴメスがすでにディズニー・チャンネルのスターとして人気絶頂期だったのにもかかわらず、10歳だったキングは圧倒的な存在感と実力で天才子役の地位を確立した。

 ホラーやティーン・ムービーなどの若手俳優の登竜門もしっかり通ってきたキングではあるが、どうしても劇場映画よりも配信映画のイメージが強い人もいるはずだ。

 それもそのはずで、Netflix映画の『キスから始まるものがたり』シリーズでは全3作で主演を務め、今年配信された『イン・ビトウィーン』でも主演を務めている。Amazonではブラムハウス製作の『冷たい嘘』(2018年)、Disney+では製作総指揮も務めた『ザ・プリンセス』(2022年)と様々なプラットフォームで主演作品が配信されている。

 『キスから始まるものがたり』(2018年)は王道のティーン向け恋愛映画であるのには違いないのだが、描かれているのは男女の友情は成立するのか否かといった、普遍的なテーマを真正面から描いた作品であり、その結末は少し哲学的でもある。

 『イン・ビトウィーン』の場合は、突然訪れた大切な人の死にどう折り合いをつけるかを10代の繊細な視点から描いた作品。『冷たい嘘』では、不仲の両親に一緒にいて欲しくてついた嘘が、取り返しのつかない事態に発展していく。

 大きな分岐点として、彼女の演技に対しての覚悟と魂が認められたというか、実力を無視できなくなったのは、Huluオリジナルドラマの『見せかけの日々』(日本ではSTARZPLAYでの配信)であることは間違いない。

 この作品は『マー -サイコパスの狂気の地下室-』(2019年)や『RUN/ラン』(2020年)のモデルとされている「ディー・ディー・ブランチャード殺害事件」を直接的に描いたドラマであり、キングは実際に役のためにスキンヘッドにしているのだ。ティーンのアイドル的存在でもあったキングがスキンヘッドにするというのは大事件ではあったが、同時にキングの俳優魂が本物であることを証明したともいえる。

 そして『ブレット・トレイン』では、悪役を演じたキング。今までにも『Smartass』(日本未公開)などでも明暗のあるキャラクターは演じてきてはいるが、悪役を演じたのは今作が初めてである。

 このように、キングは役の幅をどんどん広げてきてた。『ブレット・トレイン』で初めてキングを知った人は、過去作を観れば、成長過程を知れてもっと好きになるはずだ。

 さらにマックGが監督を務めるNetflix映画『The Uglies』で主演、そして同じくNetflixのタイトル未定作品で、ザック・エフロンやニコール・キッドマンとの共演が決まっているなど、今後の活躍からも目が離せない。

■公開情報
『ブレット・トレイン』
全国公開中
出演:ブラッド・ピット、ジョーイ・キング、アーロン・テイラー=ジョンソン、ブライアン・タイリー・ヘンリー、ザジー・ビーツ、ローガン・ラーマン、マイケル・シャノン、アンドリュー・小路、ベニート・A・マルティネス・オカシオ(バッド・バニー)、福原かれん、真田広之
原作:伊坂幸太郎『マリアビートル』(角川文庫刊)
監督:デヴィッド・リーチ
脚本:ザック・オルケウィッツ
配給:ソニー・ピクチャーズ
公式サイト:https://www.bullettrain-movie.jp
公式Twitter:https://twitter.com/BulletTrainJP
公式Instagram:https://www.instagram.com/BulletTrainJP/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる