ユ・ジテの過去をGOT7 ジニョンが演じる『花様年華』 大人のラブストーリーのリアルさ
本作内では、映画や音楽も巧みに演出に取り入れられており、ウォン・カーウァイ監督の『欲望の翼』や岩井俊二監督の『Love Letter』やリュック・ベッソンの『レオン』などを印象的に使い、台詞にも効果的に取り入れている。音楽ではアンドレ・ギャニオンの「めぐり逢い」が作品の中で重要な曲として何度も出てくるのが印象深い。学生時代を懐かしむジェヒョンが友と語らう場面で「当時は今ほど勉強しなくてよかったし」「音楽も映画も本もいい物が世にあふれてたな」という台詞がある。若かったあの頃を思い出すノスタルジックな演出で、90年代を振り返り懐かしむ心の琴線に触れる言葉だ。
学生時代に愛し合った恋人同士が、お互いに愛情を持ったまま、きちんと別れることもできず大人になって再会した。お互いの胸に残ったままの輝いていたあの頃を、現在の厳しい境遇の中に暮らすふたりが取り戻すことができるのか。過去のエモーショナルさと、現在のシビアなストーリが進む中、隠されていた真実に胸が苦しくなるような展開もある。全体に流れるのはしっとりした大人のラブストーリで、中盤では展開がスローになり、もどかしく思うところもあるが、それがより一層リアルでもある。
ユ・ジテとイ・ボヨンが演じる現在のふたりが苦しむ姿にリアルさを感じ、ジニョンとチョン・ソニ演じる若く輝くふたりにうっとりさせられ、運命的なふたりの愛がどうなるかをぜひ確かめてもらいたい。印象的なジェヒョンの眼差しと声が余韻に残る本作は、ゆったりと秋の夜長に観賞を楽しむのにふさわしい作品だ。
■配信情報
『花様年華~人生が花になる瞬間~』
Netflixにて配信中
(写真はtvN公式サイトより)