ユ・アインらが80年代のソウルを疾走 『ソウル・バイブス』が描く“ヒップトロ”の世界観

『ソウル・バイブス』“ヒップトロ”の世界観

 1988年、オリンピックで熱気に満ちたソウルの街中を横切るカーチェイシングアクションと“ヒップトロ(ヒップホップ+レトロ)”が融合したNetflixオリジナル映画『ソウル・バイブス』が配信中だ。

 フリックスパトロールによると、公開2日でNetflix映画部門世界8位を記録。台湾、ベトナム、インドネシア、タイなどの7カ国で1位(※)、日本のNetflix今日の映画TOP10でも3位から1位に上昇するなど滑り出しは好調だ(全て2022年8月29日現在)。

 物語は、アメリカンドリームを夢見る上渓洞の走り屋集団・シュプリームチーム「パンクファミリー」が、断ることのできない条件を提示され検察のスパイになることから始まる。裏組織VIPの資金洗浄の役目となる重役ドライバーの配達員として潜入し、組織の悪を暴いていくのが彼らのミッションだ。

 まず、見どころは1988年の再現性の高さにあるだろう。“オールドスクール・ヒップホップ”が流行り、コカ・コーラ、マクドナルド、ジョーダン、アディダスなどが目新しかった時代だ。劇中には『ロボコップ』、『トップガン』、『ラ・バンバ』などの当時公開された映画が登場し、米国ドラマ『ナイトライダー』のセリフが引用されるシーンもある。再開発による上渓洞撤去、病虫害防止ために白い煙を撒き散らす消毒車まで、当時を鮮明に思い出す、または想像できるような細かい演出が盛り沢山だ。さらにメインとなる車は、グレンジャー(第1世代)、ソナタ(第2世代)、ステラ、コーティナ、BMWのM5モデルなどの風味あるオールドカーが勢揃いし、車好きであればより楽しめる要素だろう。

 現代の40代~50代が最も刺さる時代背景ではあるものの、韓国では2018年頃から「ニュートロ」が大きなトレンドとなってきた。これは「New」と「Retro」を融合させた「新しい過去」を意味する造語。ファッション、インテリア、カフェ、ゲームなどのリバイバルブームの中心となっているのが10代~30代。つまり幅広い世代が楽しめるエンターテインメント映画だとも言える。

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