『ちむどんどん』仲間由紀恵演じる優子の“良さと悪さ”がにじみ出る 賢秀の暴走が止まらず

『ちむどんどん』優子の良さと悪さ

 良子は給食主任を任されたことへの責任感で、目下子供に野菜を食べさせることに集中している。これまでの良子の物語は、いつだって彼女が何か自分の思い通りにならないことに苛立ち、それをどうにかしようと奮闘する物語になっている印象が否めない。ただ、第92話で良かった点は、晴海の野菜嫌いを優子が彼女なりの方法で治そうとするシークエンスである。

 確かに、子供の頃家で出されても食べないものが、祖父母の家で出されたら何か食べられるという現象が筆者自身もあった。一体何が原因や違いなのかわからないが、優子は晴海に「しばらくうちでご飯食べなさい」と言い、裏の畑に連れて行く。そして週タイトルにも登場する「モーウイ」を一緒に収穫し、食べさせる。この時、晴海に「今日は晴海ちゃんがお水をあげたから、(野菜が)明日はもっと美味しくなるねって言ってるよ」という伝え方をしたのは、なかなかうまい。野菜が嫌いで平気で残す子供に、野菜の収穫の過程を体験させることで、ご飯を残すことの意味、野菜を毛嫌いせず自分が関わる余地があることを教えるのは優子だからできたことなのかもしれない。さすがに3人もの子供を育ててきたからこその余裕だと思うが、もう少しその良い感じに諭す能力を長男に使っても良かったかもしれない。

 さて、暢子はというと店舗物件の確定に迫られていた。自分で作った事業計画書が甘いことを痛感するものの、後日、早速杉並区の物件を内覧。予算的にはオーバーしており、背負う借金が増えることを怖いと感じていたからこそ慎重になっていたはずの暢子。しかし、電話で歌子(上白石萌歌)に応援されると、すぐに「よし、決めた!」と決意の表情をあらわにした。彼女の開業への道には、まだまだたくさんの困難が待ち構えていることだろう。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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