『ちむどんどん』ではどんな夫婦に? 『スカーレット』など朝ドラ夫婦の結婚を振り返る

朝ドラ夫婦の新婚生活を振り返る

 連続テレビ小説『ちむどんどん』(NHK総合)のヒロイン・暢子(黒島結菜)がついに結婚した。お相手は、幼なじみの和彦(宮沢氷魚)。暢子にとって、何より大切な故郷の記憶を一部共有するかけがえのない存在だ。

 幼き日の和彦が「俺が守ってやる」と暢子の手を握った時から、2人が結ばれることは多くの人が予想していたこと。しかし、そこに至るまでの道のりは平坦だったとは言えない。誰かを傷つけたり、傷つけられたり。それでも「幸せになることを諦めない」という覚悟と、周囲の手厚いサポートが結婚式での幸せに満ちた空間を作り出した。

 だが、房子(原田美枝子)のスピーチにもあったように、人生は山あり谷あり。好きな人と結婚したからといって、めでたしめでたしと終わるわけもない。これまでの朝ドラでも、多くの祝福とともに幕を開けた夫婦生活が思わぬ結末を迎えるパターンが描かれてきた。

 『半分、青い。』では、ヒロイン・鈴愛(永野芽郁)と映画会社の助監督・涼次(間宮祥太朗)が出会って6日で結婚。雨が降りしきる中でのプロポーズもロマンチックで、当初は2人を祝福する声も多かった。

 しかし、涼次は結婚資金を映画につぎ込み、鈴愛の妊娠を機に映画の世界から身を引くも、結局夢を諦めずに家族を捨てることを決意。「家族は邪魔になる」という涼次を、鈴愛が「涼ちゃん、死んでくれ」と強い言葉で非難する切ない離婚劇を繰り広げた。その後、鈴愛は同じく離婚を経験した幼なじみの律(佐藤健)と紆余曲折を経て結ばれることとなる。

 反対に陶芸という芸術世界にのめり込み、愛する人を失ったのが『スカーレット』のヒロイン・喜美子(戸田恵梨香)だ。喜美子は陶芸家志望の八郎(松下洸平)と純愛で結ばれ、夫と同志ともいえる存在を同時に手に入れるも、やがて彼の才能を追い越してから2人はすれ違い始める。

 喜美子は涼次とは異なり、家庭との両立を諦めることはなかったが、経済状況を顧みず穴窯に挑み続ける彼女を八郎は受け入れることができなかった。喜美子も八郎もまた別れを選ぶが、十数年の時を経て息子・武志(伊藤健太郎)の存在が2人を再び結びつける。この週のタイトルは「もういちど家族に」。彼らは夫婦に戻るのではなく、一人と一人のままで歩み寄る新たな家族の形を築いた。

 暢子と和彦の場合はどうだろう。暢子は結婚式で沖縄料理のお店を開くと宣言。次週以降、独立に向けて本格的に動き出す。和彦は愛と付き合っていた頃から、女性の社会進出を推進する立場にいて、暢子が結婚してからも働き続けることを心から応援している。

 また、彼は父・史彦(戸次重幸)の思いを受け継ぎ、沖縄の文化を後世に伝えることをライフワークとしているため、2人は喜美子と八郎のような同志ともいえるだろう。一見何の問題もないように思えるが、2人とも目標があるからこそ、お互いをサポートする余裕がなくなる時期もきっと訪れるはず。おでん屋の経営方針を巡って、彼らは一度言い合いになっている。どちらも頑固なのは否めないが、危機を乗り越えるためには、子供の頃のように不器用ながらでも歩み寄ることが必要になるだろう。

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