『鎌倉殿の13人』中村獅童、梶原景時として最後に見せた感情の揺れ “名刀”としての最期

『鎌倉殿の13人』梶原景時“名刀”の最期

 物語終盤、景時は武装し、頼家の側室・せつ(山谷花純)が産んだ頼家の嫡男・一幡(白井悠人)を人質に取る。景時に問われ、義時は後鳥羽上皇からの文について頼家に伝えたことを認めた。

「行けば鎌倉殿は決してあなたを許さない。必ず討ち取ろうとされる。それは朝廷との争いの火種となる。鎌倉を守るのが私の役目」

 義時は景時から目を逸らすことなく、強い意志をもってその理由を述べる。景時は義時の言葉とその姿勢に、頼朝に仕えていたころの自身の忠義心を感じたのかもしれない。景時は一幡をせつの手に戻し、流罪先の外ヶ浜に向かうと告げた。去り際、景時は神妙な面持ちで義時に問いかける。

「そなたは広常の前でこう申した。われらは坂東武者のために立ち上がったのだと。源氏は飾りにすぎぬと。忘れてはおらぬな」

 義時が強い眼差しでうなずくのを見ると、景時は義時の目をまっすぐ見つめ「己の道を突き進め」と言葉を残した。今後鎌倉を牽引するであろう義時への激励に感じられた。

 雑色の善児(梶原善)を譲り受けた義時は、景時の後ろ姿を見送ると、頼時(坂口健太郎)に兵を整えるよう命じる。困惑する頼時に、景時は華々しく戦で死ぬつもりなのだ、と義時は言った。

「刀は、斬り手によって名刀にもなまくらにもなる」

 景時は、義時と初めて出会ったときにもこの言葉を口にしていた。初めて出会ったときに続いた言葉は「決めるは斬り手の腕次第」だったが、「なまくらで終わりたくはなかった」という言葉で締めくくられるのはなんとも切ない。武士らしく戦で死ぬ覚悟を決めた景時だが、衝撃的だった広常の最期とは違い、その最後はひっそりと描かれることだろう。己を信じ、突き進んだ男の幕引きは物悲しいものとなった。

参照

https://www.sankei.com/article/20210406-RGHQ6KCZLVITDJLQMR357VJPCI/2/
https://www.townnews.co.jp/0502/2022/01/07/607579.html

■放送情報
『鎌倉殿の13人』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:小栗旬
脚本:三谷幸喜
制作統括:清水拓哉、尾崎裕和
演出:吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー:長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供=NHK

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