『学校の怪談』がある夏休みはどんな娯楽よりも有意義! 記憶に残る、ほどよい曖昧さ
無論、2作目から4作目も満遍なく愛せる作品なのだが、純然と“学校の怪談”らしさ、つまりは1990年代中盤〜後半の小学生が求めてやまなかったものが詰め込まれているのは1作目であるわけだ。いま改めてひとつの映画として『学校の怪談』を観る上では、もちろん漠然とノスタルジーに浸るのも悪くはないが、当時の映画技術の最先端をあえて避けた作り込みにこそ注目してほしい。シリーズを象徴する個性的なキャラクターとなったテケテケであったり、用務員クマヒゲさんの絶大なインパクト。そして巨人が校舎内を闊歩するシーンのミニチュア合成など。この良い意味での作り物感が、どの時代の枠にもはまらない味わい深さを与えていく。
また、作品の要ともなる子役キャストたちの伸び伸びした演技も欠かせない。叫んだりなど感情を大きく表出させる演技ではどうしても演技らしさは出てしまうが、それ以外の些細な言葉のやりとりはこの上なくナチュラルで、「こんな奴いたな」という気分にさせられる。ちなみに1作目で妹の美夏を演じた米澤史織は3作目でメインキャラクターの一人として登場、他の子供たちも2作目にゲスト出演。シリーズを通して多くの子役が登場してきたが、現在も活躍しているのは前田亜季(2作目、3作目)、細山田隆人(2作目)、現在は振付師として活躍する竹中夏海(2作目)、声優に転身した豊永利行(3作目)とひと握りなのは寂しいところだが、それもどこか、ふと小学校時代の同級生がいま何をしているのだろうかと頭をよぎる感覚に近い。
今回『学校の怪談』がテレビ東京の『午後のロードショー』で放送されるのは、山崎貴監督の新作『ゴーストブック おばけずかん』の公開を記念してのことだ。“ジュブナイルホラー”のマインドを確かに継承する東宝作品が夏休みの始まりにあわせて劇場にやってくるのは『学校の怪談4』以来であろう。これを機にそろそろシリーズが復活しないだろうか(もう20年近くそんなことを思っているが)。『学校の怪談』がある夏休みは、他のどんな娯楽も太刀打ちできないほど有意義なはずだ。
■放送情報
『学校の怪談』
テレビ東京系にて、7月22日(金)13:40〜放送
監督:平山秀幸
脚本:奥寺佐渡子
出演:野村宏伸、遠山真澄、米澤史織、熱田一、塚田純一郎、町田耕平、町田昇平、 岡本綾、佐藤正宏、杉山亜矢子、久保晶、広岡由里子、水木薫、余貴美子、笹野高史ほか
(c)1995東宝