町田啓太が『テッパチ!』で魅せる繊細な演技 初期作や『チェリまほ』などから探る

『テッパチ!』町田啓太が魅せる演技力を分析

 現在放送中のドラマ『テッパチ!』(フジテレビ系)で、町田啓太が主演を務めている。町田は今年2本の映画出演に加え、今作で2本目のドラマ主演を務めており、今年も目覚ましい活躍ぶりだ。

 町田といえば、2020年放送のドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系)で大ブレイクを果たしたが、劇団EXILEで役者として活動を開始した当初は、事務所の色もあり“やんちゃ”な役を演じることが多かったという。そのため、過去のインタビューでは「僕自身はそういう感じを避けて生きてきたタイプなので、自分の本質を見てもらえてはいないんだな、と、先入観に苦しんだところはありました」と語っている(※1)。町田は役者活動を継続する中で、『女子的生活』(NHK総合)のヘタレでだらしないが友人思いで愛情深い同級生役や、『ギルティ〜この恋は罪ですか?〜』(読売テレビ・日本テレビ系)の明るく陽気な元カレ役など、多様なキャラクターを演じるようになっていく。

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 演技の幅を広げた先で出演したのが、大ヒットを記録した『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』だ。本作で町田は、赤楚衛二演じる主人公・安達へ思いを寄せる同期の黒沢を演じている。同名BLコミックが原作で、30歳を過ぎて人の心が読めるようになった安達が黒沢の気持ちをうっかり知ってしまうところから物語が始まり、最終回まで丁寧に描かれた恋愛模様が支持を集めた。言うまでもないが、今作が大ヒットした要因のひとつに町田の存在感の大きさがあったのは間違いない。

『テッパチ!』#2

 同作で共演した赤楚は、町田が黒沢を演じることでルックスに説得力が生まれるとした上で、「黒沢という役は演じるのがすごく難しいと思いますが、黒沢を研究しつくした町田くんが演じると本当に黒沢なので」と語っている(※2)。また、黒沢が安達に対し一途に思いを寄せているさまは、町田の視線や一瞬の表情、相手への触れ方、指の先まで非常に細かな部分から視聴者が読み取れるよう表現されていた。視聴者も主人公である安達も黒沢の気持ちを理解した上で物語が進むため、町田が演じる“好きが溢れる”演技に共感し胸躍らせる。それは、町田が細かな演技にも手を抜かずキャラクターを演じきっているからこそなのだ。

 『チェリまほ』の愛称で親しまれた同作は、日本のみならず海外でも大ヒットを記録し、今年は劇場版も公開された。また、同作の大ヒットと共に町田自身もブレイクしたが、一方で「容姿端麗で優しく爽やか」という黒沢のイメージと共に知れ渡ったため、町田自身にもそうしたイメージを持つ視聴者は多いかもしれない。実際、『チェリまほ』後に初の連続ドラマ主演を務めた『西荻窪 三ツ星洋酒堂』(MBS)では、誰にでも優しく他人を包み込むような雰囲気の主人公を演じており、黒沢らしさが残っていた。

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