『オールドルーキー』芳根京子が表現した支える側の葛藤 田中樹はランナー役で新たな一面

『オールドルーキー』田中樹が新たな一面示す

 『オールドルーキー』(TBS系)第3話でスポットライトを浴びたのは、男子マラソンの秀島修平(田中樹)だった。開催中の世界陸上オレゴン大会で、男子マラソンが行われる絶好のタイミングでのエピソードは、アスリートの素顔に光を当てるものになった。

オールドルーキー

 「僕の本当の目標は日本記録じゃありません。世界記録です」。ビッグマウスの秀島は、想像の上を行く練習量で周囲の期待に応え続けてきた。まさに有言実行。だが、優勝が確実視された大会で秀島は失速し10位に終わる。記者の質問に取り乱して会見場を後にすると、ビクトリーにマネジメント契約の打ち切りを通告してきた。社長である高柳(反町隆史)のとりなしで契約解消は免れたが、残留の条件として示したのは塔子(芳根京子)を担当から外すこと。代わりに「アスリートの気持ち」がわかる新町(綾野剛)が秀島を担当することになった。

 アスリートは強い人間に見える。ハードなトレーニングを重ねて高みを目指す彼らは強靭な心身を備えていると思われているし、事実その通りでもある。しかし、実際にはトップアスリートの多くがメンタルに問題を抱えている。そのため、アスリートの人間性に光を当てる過程では、必然的に強さだけではない、彼らの弱さにも目を向けることになる。大言壮語する秀島は、塔子によると「自分で自分のことを奮い立たせて頑張るタイプ」。自らを鼓舞するために誰よりも練習し、目標を口に出すことで自身を追い込んできた。そんな秀島にとって、敗北は10位という結果以上に、築き上げた自信がゼロになるような衝撃を伴っていたはずだ。

オールドルーキー

 ついこの間までサッカー選手だった新町は、落ち込んでしまった秀島を引き上げるのに適任だった。傷ついた人間の心情を理解できるのは、同じように傷ついた経験のある人間である。新町は秀島が感じていた孤独と恐怖を理解できた。では、ふたたび前に進むために何が必要だろうか。答えはとてもシンプルだ。支えてくれる人の存在が踏み出す勇気を与えてくれる。秀島にとって、それは塔子だった。役作りのため青山学院大学陸上競技部で走りを追求した田中は、身も心も苦悩するアスリートそのものだった。『ブラック校則』(日本テレビ)や『うきわ ―友達以上、不倫未満―』(テレビ東京系)など、作品ごとに異なる表情を見せる田中の新たな一面を示した。

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