『純愛ディソナンス』中島裕翔の放つ“毒”が完璧 “純ドロ”物語の幕開け

『純愛ディソナンス』中島裕翔が放つ“毒”

 吉川愛の迫真の演技と中島裕翔の「毒」を感じる表情がジワジワと心を蝕む。『純愛ディソナンス』(フジテレビ系)の第1話では、それぞれの人物の愛憎渦巻く関係性が描かれた。主演にHey! Say! JUMPの中島裕翔、共演は吉川愛、比嘉愛未、眞島秀和、高橋優斗(HiHi Jets)と豪華キャストが物語を紡ぐ。

 本作は、新任音楽教師の新田正樹(中島裕翔)と生徒の和泉冴(吉川愛)が織りなす“純愛”を軸に物語が進行していく。正樹の兄の恋人であり、教師の小坂(筧美和子)が赴任していた学校を辞めたことをきっかけに、正樹がその穴を埋めるように着任。だがクラスの生徒たちは、小坂が急に学校に来なくなったことを不審に思っていた。そして冴もまたそんな生徒の1人だった。その中で、冴と正樹は姿をくらませた小坂の行方を調べるうちに徐々に心を開き合う。家族に問題を抱える2人は、次第に惹かれ合っていく……。

 常にタブーと隣り合わせの2人の“純愛”にフォーカスする『純愛ディソナンス』は初回から家族問題あり、サスペンスありのドロドロな展開を生み出していく。純愛×ドロドロの“純ドロ”が見どころというだけあり、どうしようもない冴の母親の和泉静(富田靖子)や、あまりにも卑劣な母の恋人、信頼関係の築けていない教師たちなど、1人いるだけでも頭を抱えたくなるようなキャラクターが入れ替わり立ち替わり登場する。そのような中で、母親からの支配に苦しむ冴と、家族に居場所を感じられない正樹と、互いに心に闇を抱える者同士が共鳴し合う様子が丁寧に描かれた。

 教師と生徒という隔てられた存在でありながら、冴は正樹の嘘を見抜き、徐々に正樹に心を開き始める。一方の正樹も、冴の存在が自分の人生の「流れを変える出会い」なのではと感じ取っていた。「家族」という一筋縄ではいかない問題に立ち向かう二人は、次第にその歪な心のピースがはまるように惹かれ合う。それが恋心であるのかまでは語られないものの、特別な関係が生まれていることは一目瞭然だ。

 「全部捨てちゃおう」と誘う冴の高校生ならではの無鉄砲さは、普通の大人ならたしなめて終わるところだろう。しかし苦しむ正樹にとっては、自身を救い出してくれるかもしれない強烈なパワーとなって心に響いた。中島裕翔の繊細で影のある表情が彼らの関係の奥深さを物語る。他者を欺きながら飄々と生きているように見せかけ、実は脆く崩れそうな心を冴と共有する正樹を、中島は細部まで完璧に表現しきった。

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